以前にもコネタで伝えたが、シカゴ市役所内には映画部なる部署がある。そこでハリウッド映画やテレビドラマシリーズなどの撮影サポートなど、ありとあらゆるロケに関するバックアップが整っていて、市にとっても大手映画会社にとっても好環境な場所らしく、スタジオ以外でもロケ撮影など忙しくしている。


そんな映画部から大々的に「エキストラ募集」の広告がローカルのニュースやネットで流れた。前回が最後だと思っていた「トランスフォーマー」「4」のエキストラだという。

募集要項を見てみると、「香港シーン」とありアジア人を大量にエキストラ雇用したそうな感じ。噂ではシカゴの一部を香港にしてしまうアイディアがあるらしい。NYやカリフォルニアに比べ、シカゴはアジア人が少ない。ハリウッド映画(エキストラでも)に出演できる大きなチャンス!

ということで応募してみると、数週間後にメールで衣装合わせの連絡が入る。
やった! アジア人が幸いしたようだ。市内にあるフィルムスタジオの衣装部屋で、とりあえず身分証明証やらパラマント映画の規約書を渡され、厳しい契約にサインをした。そこには、当然だが俳優に話しかけたり、写真を取ったり、セットやその他の写真も厳禁。そのほか、お給料の税金に関する書類記入等があった。どうやらお給料も貰えるらしい。(8時間までは$66。
その後は残業代として1.5 倍の時給)。

エキストラに衣装合わせなんて必要あるのだろうか? と思っている間にサイズを計られ、衣装さんがスーツを持ってきてくれる。「じゃ、これ着てみて?」「あっ、これが靴ね」と。ハイヒール。スカートのスリットが割れすぎていて「見えすぎませんか?」と言うと「こっちに来て~」と裏に連れて行かれた、そこは縫製ルーム。待機しているお針子さん達が袖の長さから何からさっと直してくれる。


どうやら香港シーンの撮影ではなさそう。撮影当日集まったエキストラの皆さん、モデルさんと一見してわかる方々が多数。アジア人ばかりだと思っていたが、背の高い綺麗な中国人女性モデルと私だけがアジア人女性。(数人のアジア人男性はいました)全員がスーツ着用、ということでオフィスセットでの撮影ということがわかった。セットに行く前にヘア、メイクを済ませる。エキストラでもちゃんと綺麗にしてもらえるのが嬉しい。


セットに着くと、クルースタッフの働きぶりがすごく、ここもアメリカ?と思うほどダラダラしている人がいない。監督がセットについた途端にクルーの緊張度が数倍上がり、こちらにもピンピン伝わってくる。周りの緊張度が感じられる経験をしたのはこの時が初めて。映画監督のパワーを見せつけられました。後でわかったことだが、この監督は特別らしいです。

バックグラウンドでしかないエキストラでも、エンターテイメントビジネスのチャンスを狙っている人達がたくさんいる。
エージェントがいるという俳優志望者、モデルクラブから送られてきた人、私のような「面白そうだから」なんて人は数少ないよう…。

クルーが「数分したら監督が来る、ここから数人選ぶと思う」と言うと、私以外の人が全て立ちあがり身だしなみを整え、斜め立ちをして監督を待っている。「私には無理だな。選ばれなくていいよ」と、私は座ったまま目の前にある大量なお菓子に手を出していました。

そんな中でやはりモデルの中国人女性は選ばれ、オフィスの受付嬢役となっていた。え、私はどうなったかって? 私は小道具で渡されたファイルを持ち、オフィス内を歩く人に徹していました。


慣れないハイヒールを履いて歩き回る。足が痛いし血もでてきている。それでも監督の「リセット!」を何度も聞き、もう絶対にエキストラなんかするものか!と誓った日でもあります。なにせ、この日だけでも14時間拘束…!

とはいえ、目の前を有名俳優さんがウロウロしていたり、映画監督の指示やらクルーの働きぶりをかいま見れたことは良い経験になりました。

トランスフォーマー4は、来年6月公開予定。
(シカゴ/あらた)

またエキストラに興味のある方、シカゴ映画部では常時エキストラを募集しているよう。
詳細はウエッブサイトにて (キャスティングコール)