9月2日に、埼玉県から千葉県にかけて猛威を振るい、大きな被害をもたらした竜巻。
ニュースで映し出される・語られる人たちは、動画を撮っていたり、窓から見たり、外に飛び出したりと、その対応はまちまちだった。


日本では昔から地震のときの対応は学んできているが、竜巻に対する知識は実に少なく、「遠い外国のもの」といったイメージを抱いてきた人すらいるのではないだろうか。

日本ではどんな場所で竜巻が起きやすいのか。また、どんな状況になったら注意すべきなのか。対処法などについて、気象庁の天気相談所に聞いた。

「昔は実態がつかめていなかっただけで、竜巻は実は日本でもたくさんあって、いつでも、どこにでも起きます。沖縄のほうが多いとも思われていましたが、それは観光客が沖合で起きるものをたまたま見つけるケースが多かっただけで、北海道でも起きますし、『起きない場所』というのはありません。また、一年中起きない時期というのもありません。台風には安心情報はないんです」
「平野部が多い」という説もあったが、実際には山の渓流部にもたくさん起きているそうで、都内でも多摩地方でたくさん起きているという。

では、どういう状況になったら注意が必要なのか。
「前兆は、『白い雲が急に黒くなる』こと。竜巻だけじゃなく、雷や突風、大雨などのときも同様で、いずれも油断できません。また、『黒い雲が遠くから近づいてくること』『急に冷たい風が吹いてくること』などもあります」

重要なのは、空を見ること。
そして、少しでも空がおかしいと感じたら、「自分の感覚」を大切にすることだと言う。
「竜巻だけでなく、自然災害は『後で思えば』『そういえばあのときそうだった』など、結果論として語られる場合が多いんです。そして、みんな『自分だけは助かる』と思ってしまうんですよね」

川や海、山など、自然が身近にある環境では、空模様に注意を払う人も多いだろう。でも、都会では、どうしても空の様子に鈍感になりがちだ。
「空の様子がわからない場合は、ケータイやPCのサイトの竜巻情報が役立ちます。普段から受信できるように設定をしておきましょう。情報は県単位という広い範囲で出ますので、当てはまらない場合もありますが、注意情報などを受信したら自分で空を確認するようにしましょう」

では、竜巻注意情報が出たときは?
「まずは自分が安全だと思う場所に移動しましょう。安全な場所はケースバイケースですが、たとえば、頑丈な建物の中ですね。窓にはカーテンを閉めて、建物の奥のほうに行きましょう。トイレの中で助かったという例も多いです」
竜巻の場合、ガラスの飛散による死亡事故や後片付けの際のけがが多いそうで、それを防ぐために「カーテンを閉めておく」ことは重要なのだそうだ。

今回は家屋の倒壊も多かったが、「いよいよ」のときは外に出たほうが良いのだろうか。
「竜巻については、『いよいよ』のときなんてわかりません。
倒壊しそうだとわかるのなら、外に出るというよりも、近所のコンクリートの丈夫な家に押しかけるほうが良いでしょう。そのためには、日頃から近隣の人と付き合っておくことも大切です。震災時の津波のときと同じく、『町ぐるみで全員が助かるように』という心掛けが大切だと思います」

不安定な空が続く日々。くれぐれも注意したいものだ。
(田幸和歌子)
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