訃報を伝えた英BBCによれば、今欧州で広く見られるように、パンに肉とサラダを挟み提供したのは、1960年にトルコからドイツへ移民としてやって来たヌルマンさんが、1972年にベルリンで始めた露天に端を発するそうだ。トルコ・ドネル製造業者協会も、2011年にヌルマンさんを「考案者」として認定している。
発祥地ベルリンでは1000以上の店があり、ドイツ全体では1万6000を数える。肉を焼くための機械も、欧州連合(EU)市場の80%が独メーカーにより供給されている。しかしヌルマンさんは、パンに挟むドネルケバブを考案した際に特許は取らなかったため、それが世界的に成功を収めた今も、ヌルマンさん自身に利益はもたらされていない。
パンに挟んだ形のドネルケバブは欧州各国により形は少しずつ異なる。筆者が暮らすフランスでは、肉は牛肉や七面鳥、鶏肉が使われる。そして牛肉と七面鳥肉もしくは鶏肉を重ね合わせた一つの肉塊(店により単一の場合もある)を回転機で焼き、スライスしたものを提供する。伝統的にケバブは羊肉だがフランスではあまり使われない。ソースはケチャップ、マヨネーズ、サムライ(ケチャップ、マヨネーズと唐辛子から作られる調味料ハリッサを混ぜたもの)など。肉を挟むパンはピタやバゲット、ガレットなどで、そこにフレンチフライを添える。