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東京オリンピックの裏伝説。芸術家たちはなぜ道路のゾーキンがけをしたのか

東京オリンピックの裏伝説。芸術家たちはなぜ道路のゾーキンがけをしたのか
名古屋市美術館で2013年12月23日まで開催中の「ハイレッド・センター:「直接行動」の軌跡展」のチラシ。この展覧会では、1960年代前半に平穏な日常を芸術によってかき乱そうとした、若き芸術家3人のグループ「ハイレッド・センター」の軌跡を、作品や膨大な写真、資料などを通して紹介する。12月14日には、メンバーの一人である中西夏之が当時を語る講演会も開催予定だとか。
1964年10月16日。同月10日に開会した第18回オリンピック東京大会は7日目を迎え、15日間の会期の折り返しを曲がろうとしていた。前日の15日には、陸上男子100メートルの準決勝で、アメリカのボブ・ヘイズが9秒9を記録、追い風のため公認はされなかったものの史上初めて10秒の壁を破っている(決勝では10秒ジャストで優勝を果たした)。

この日、東京・銀座の並木通りに奇妙な集団が現れた。参加した男たちは白衣をまとい、おのおのぞうきんやはたき、たわしなどを持ち寄り、道路の清掃を行なった……のはいいのだが、このときの記録写真を見ると、路面をぞうきんで懸命にこする彼らの姿はいかにも滑稽だ。当時27歳だった参加者のひとりは後年、次のように書いている。

《道路のゾーキンがけというのははじめてやったのですが、ゾーキンに両手をついてお尻をピンと立てて、トントントンと廊下をやるのと同じようにやって行くのですが、いざやってみるとゾーキンがすぐボロボロになってしまう。これは困った問題です。セメントの道路にゾーキンは合わないようです。ゾーキンがけをする場合は、道路は板張りの方がいいと思いました》

何とも人を喰った感想だが、タネ明かしをすると、上記の文章は美術家の赤瀬川原平の著書『東京ミキサー計画』からの引用で、くだんの清掃活動は、赤瀬川が画家の高松次郎と中西夏之とともに前年に結成した「ハイレッド・センター」の呼びかけで実施されたパフォーマンスであった。ちなみにハイレッド・センターという秘密結社めいたグループ名は、単純に高松・赤瀬川・中西の頭文字を英訳して並べたものである。

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