路線バスを眺めていると、屋根の上がコブのように出っ張っていることに気がついた。すべてのバスがそうなっているわけではないのだが、都内を中心に屋根の出っ張ったバスがたくさん走っているような気がした。
何が入っているのか、何の役割があるのか、気になって仕方がないのでバスメーカーのいすゞ自動車に聞いてみた。

バスの種類を調べると、従来のディーゼル燃料で走るものばかりでなく、環境への配慮などからCNG(天然ガス)対応のバスも存在することが把握できた。そうそして、そのCNG対応のバスが屋根の出っ張ったバスなのである。

そのCNGバスというのは、ガスボンベのような容器に、燃料である天然ガスを入れて走行するもの。その燃料ボンベを屋根の上に仕込んでいるのだ。疑問なのは、いかにも重たそうな容器を何本も、なぜあえて高い場所に設置しているのだろう。


「CNGバスが最初から屋根の上に燃料容器を載せていたわけではありません。当初は車体下部に搭載していました」
設置場所が下部から屋根の上になった経緯は?

「屋根の上に設置するようになったのは、ノンステップバスが登場してからですね」
ノンステップバスか。あれだとお年寄りでもバスに乗るのが楽ですよね。それとCNGバスの燃料容器がどう関係しているのだろう?

「ノンステップ化したことにより、従来のように車体下部に搭載するスペースがなくなってしまい、その結果として、屋根の上に載せることになりました」
確かに、ステップがなくなるとバスの床全体が低くなるわけで、その分下部スペースがなくなってしまうというわけか。

屋根の上ならスペースはゆったりしているし、見たところまだまだ載せられる感じがする。将来、屋根のスペ―スを利用して、太陽光パネルやプロペラを載せて走る電気バスが普及してほしいものだ。


バスの屋根の上って、実はとても便利な場所なのである。
(羽石竜示)