――本篇はオールカラーでイラストも豊富で、小田急電鉄にちなんだユニークな問題ばかりですね。
「今までにない画期的なドリルになりました」
例えばこんな問題
【幼児用】
栗平駅(くりひらえき)の まちあいしつに 6にんのおきゃくさまがいました。3にんがでんしゃにのりました。なんにん のこっているでしょう。
※ドリルには子どもが解きやすいように、イラストが描かれています。
【小学1年用】
TRAINS(トレインズ※小田急のグッズショップ)に VSE(ぶいえすいー)のN(えぬ)ゲージが10台ありました。そのうち3台(だい)がうれました。のこりはなん台でしょうか?
※ドリルにはイラストが描かれています。「VSE」については後ほど説明。
なるほど! 電車が好きな子どもにとっては、「やおやさんに行って、りんごを3こ、みかんを2こ買いました」といわれるよりも、駅や車両が出てきた方が解きたくなるのも分かる。
「私も子どもの頃は、算数が苦手で……。でも、このドリルなら、ワクワクしながら解いていけるのではないかと思って作りました」
しかも、小学1年用の方は「学習指導要領準拠」である。発行は「シグマベスト」の参考書シリーズでおなじみの文英堂だ。
「完成まで2年。すべてが手探りでした。電車で算数というユニークなコンセプトを取り入れながらも、"楽しさ・親しみやすさを重視しながら、勉強になることを重視する"という文英堂の編集方針を徹底的に貫いています。本物の教科書に沿った学習指導要領準拠は、その思いを形にしたものです。小田急電車ドリルは、私たち製作側にとっても、夢が詰まった商品なのです」
勉強が苦手でドリルをやりたがらない子どもが、あっという間に解き終わってしまったという嬉しい声もあったという。恐るべし、電車パワー。
それぞれのページを解き終わると、特製の路線図に駅名が書かれたシールを1枚ずつ貼る。
「新宿からスタートして、さまざまな駅を経て、最後に片瀬江ノ島駅のシールを貼ればドリルは完成です。最終ページは『小田急算数はかせマスター』の認定証になっています。
小田急ならではのコラムつき
見開きページにはそれぞれ、小田急ならではのコラム「でんしゃはかせ」も載っている。
「なぜロマンスカーが赤いか知ってるかい?それは、とおくからはやいでんしゃがきていることをいろで知らせるためなんだ。MSE(えむえすいー)が青いのは、地下鉄であかるく見えるようにしたからなんだ」(小学一年)
し、知らなかった……。
「ロマンスカーしょうかい。50000形(VSE・ぶいえすいー)。2005ねんにデビューした展望席(てんぼうせき)のあるロマンスカー。VSEのVはてんじょうが丸い(Vault・ぼーると)というえいごのV(ぶい)なんだ」(幼児用)
し、し、知らなかった……。
「江ノ電は海がとってもにあうみどりの電車だよ。藤沢(ふじさわ)と鎌倉(かまくら)のあいだを走っているんだ。江ノ島(えのしま)・鎌倉(かまくら)フリーパスで……」(小学一年)
あれ? ちゃっかり宣伝っぽいことも入っているではないか。
ほかにも、MSEが納車される様子や、車両を点検している様子を写真で紹介したり、ダイヤグラムまで紹介されている。
――コラムの内容もしっかりしてますね!
「ありがとうございます。
この際だから、濱崎さんにいろいろと聞いちゃおう。キッズのみんなも知りたいよね! キッズじゃない人たちも知りたいよね!
Q:濱崎さんは元運転士(うんてんし)さんだったそうだけど、運転士さんになるには、どうしたらいいの?
「私の場合は、鉄道に関して学生時代にとりわけ専門的な勉強をしたわけではなく、入社試験は一般の会社と同じような面接や試験を受けています。入社後は駅勤務、車掌を経て平成2年に運転士を拝命、さらに試験を受けて平成5年から小田急ロマンスカーに乗務しました。ロマンスカー・VSEが登場する平成17年3月までは現役の乗務員でした。ちなみに鉄道マンとしての専門知識は、全員が入社後に専門職種に応じた勉強と訓練を受けて一人前になります」
Q:濱崎さんお気に入りの車窓を教えてください
「非常に迷うところですが、一つ挙げるとすれば渋沢~新松田間ですね。ひとつの区間に急勾配・トンネル・曲線・踏切・鉄橋があって、線路条件もとても変化に富んでいます。景色もよく、運転していて気持ち良い区間でした。ロマンスカーのポスター撮影でもよく使われますよ」
――ありがとうございました!!
電車ドリルは幼児用と小学1年用の2種類。続編を作ってほしいという希望が届いているという。こうなったら、小田急ファンの大人のための電車ドリルも作ってほしいところである。
(やきそばかおる)