白倉 (主人公・ジロー役の入江甚儀と出会って)生まれて初めて男の写真集を見てみたいと思った。キカイダーとどっちが肉体美か比べてみたい。

入江 いい勝負だと思いますよ。
白倉 マジで!
井上 GW中に、入江さんの舞台を見に行ったんだけど、あのアクションはまさに、ジローだぜって感じでした。
入江 蹴るシーンで「えげつない」って言われました。足が高い位置まで上がりすぎる、と(笑)
白倉 手足が長いからキレイに見えるんだよね。やっぱ、ちょっとえげつない!

1970年代前半、「仮面ライダー」と人気を二分するほどの人気を誇った特撮番組「人造人間キカイダー」。40年を越える歳月を経て、映画「キカイダー REBOOT」として復活を遂げた。映画公開から1週間となる6月2日、トークイベントが新宿バルト9で行われた。

主人公のジロー/キカイダー役を務めた俳優の入江甚儀は劇中衣装&ギターという姿で登場。 “再起動”の仕掛け人であるエグゼクティブプロデューサーの白倉伸一朗(東映取締役)と、プロデューサーの井上伸一郎(KADOKAWA代表取締役専務)は、お揃いの“キカイダー”ネクタイを身につけ登壇した。このネクタイは下山天監督夫人のお手製だという。

白倉 今日持ってきていただいたギターは本物ですか。弾けるんですよね。

入江 弾けることは弾けますけど……アンプがないから二列目ぐらいの人にしか<聞こえませんよ。
白倉 せっかくなんだから弾かないと。なんのために持ってきたんですか。
入江 宣伝部の人に「とりあえず、背負ってくれ」と言われたんです(笑)
白倉 でも、中身はちゃんと入ってるんだよね。やっぱり、弾けってことですよ。

入江がギターを手にとり、つまびいてみせると、白倉が「ふたりは〜♪」と歌い出す。すかさず「ごめんなさい。ゴールが見えません!」と突っ込む入江。親子ほども年が違う二人が繰り広げる当意即妙の
やりとりに、会場のファンも大喜びだった。

真っ赤なギターは主人公・ジローのトレードマーク。かつてはアコースティックギターだったが、今回はエレキギターを背負って現れる。

井上 (エレキーギターにしたことは)いろんな方にツッコまれると思うんです。
アンプはどこだ、とか。あれはきっとジローの仲に内蔵されているんです。
白倉 いっそ、ギターも内蔵してもらえばよかったですね。オプションとして持ち歩くには、ギターはデカすぎる。
井上 光明寺博士が音楽好きという設定ですから。
白倉 そう考えると、MP3でも良かったんじゃ……(笑)

じつはこのギター問題、製作陣を大いに悩ませた問題でもあった。劇場パンフレットに収録された対談のなかで、井上はこう語っている。

“最初はジローはギターを持っててデニムを着てなんて言ってたんですが、白倉さんは拘るべきはそういうことじゃないと。でもやはりギターはジローのアイデンティティだと思うので、外した瞬間にそれはジローじゃないなと私は思ってしまう。その部分では多少の擦れ違いがあったんですが、私も昔のようなアコースティックギターが欲しいわけではなくて、あれは70年代の格好良かった若者文化を取り入れたスタイルなので、現代におけるギターを使った格好良さを追求してほしいということで誤解が解けまして、やっと折り合えたというか(笑)。”(劇場パンフレット「KIKAIDER REBOOT SPECIAL TALK」より)

“TV版のキカイダーを正にリアル中2病で見ていた”と振り返る井上に、“放映当時6、7歳くらいでもちろん夢中で見ていました”と語る白倉。また、今回の作品の技術監修を手がけた千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長・古田貴之も、監督の下山天もキカイダー世代。


キカイダー育ちの少年たちが大人になり、それぞれの分野のプロとしての知見を結集し、つくりあげたのが今回の作品。その尋常ならざる愛情が当時を知らない世代もワクワクさせてくれる。スイッチオン!

『キカイダーREBOOT』予告編(角川書店ブックチャンネル)


(島影真奈美)
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