関東甲信地方でも梅雨が明け、いよいよ夏本番! 海に、山に、いろいろと楽しみな季節です。が、一方で自己管理を怠ってはいけない季節でもあり……。
エアコンで適度な室温に調整したり、水分・塩分補給をしたり、熱中症対策にも気を付けましょう。

そしてもう一つ、気を付けてください。じっとしててもジワジワ汗をかく、高温多湿な日本の夏。数分歩くだけで、汗だくに……。こんな状況が続くと生じやすいのは、「あせも」による皮膚トラブルであります。
「あせも」といえば、子どもが気をつける症状だと思いがち。確かに小児はエクリン汗腺の分布密度が高く、皮膚が弱いため、あせもになりやすいです。
しかし近年、大人のあせもが増えているそうです。それも、高温の環境下に長時間さらされながら仕事する人だけでなく、室内で勤務する方々が悩むケースも増えているらしく。猛暑や節電が影響し、多くの方が意識せざるを得ない問題となりました。

そこで早速、“汗が原因で起こるトラブル”を挙げていきましょうか。
●皮膚を保護する力が低下する
●皮膚が細菌に感染しやすくなる(とびひ・ニキビ・毛包炎など)
●汗に含まれる微量な物質によるアレルギー性湿疹
●あせも
●適切な水分補給がないと、脱水や熱中症に

汗そのものは弱酸性で、実は皮膚の保湿・殺菌効果があるそうです。
外部の細菌やカビは酸に弱く、弱酸性下の肌では増えにくくなります。しかし、弱酸性を保つことが難しくなると、外部からの影響を受けやすくなる。弱酸性の汗を放置するとアンモニアが発生し、皮膚がアルカリ性に傾いて酸性膜が破壊され、雑菌が繁殖しやすい状況になり、肌トラブルの元になります。

個人的には、肌トラブルの中でも「あせも」が一番気になるなぁ……。では、この症状が起きるメカニズムについて。端的に言うと「汗を出す『エクリン汗管』が閉塞されることにより汗が皮膚表面へ排泄されず、貯留してしまう」、これが原因です。
特に、背中や胸など汗のたまりやすい箇所にあせもができやすくなる。脇、肘の内側、膝の内側、首のうしろなどです。

そして、食生活にも気を付けていただきたい。なんと、「あせも」の原因となる食べものがあるそうなんです。
食べ物には、「ニッケル」、「クロム」、「コバルト」など金属が多く含まれているものがあり、摂取し過ぎると体内の金属イオンのバランスが崩れます。汗をかかないときは尿中排泄しますが、夏場などは摂取した金属物質が汗腺からも分泌され、自分の汗がたまった部分にかぶれを起こす場合があります。

さて、その食べものとは何か? 以下ですよ!
■「ニッケル」を多く含む食品
玄米、そば、オートミール、豆類、海藻類、カキ、さけ、ニシン、ほうれん草、かぼちゃ、レタス、キャベツ、マッシュルーム、香辛料、ふくらし粉、ワイン、ココア、チョコレート
■「クロム」を多く含む食品
ジャガイモ、玉ねぎ、マッシュルーム、りんご、香辛料、ココア、紅茶
■「コバルト」を多く含む食品
豆類、木の実、キャベツ、ほたて貝

……と、危機感ばかりをあおっていてもしょうがない。“オトナあせも”の対策法も知りたいですよね? その辺り、「野村皮膚科医院」院長の野村有子先生に伺いました。結果、大きく3つの対策法が有効のようです。
(1)汗をかいたらそのままにしない
・汗をかいた後はシャワーですぐ洗い流す
・外出時は、水でぬらしたタオルハンカチなどを使う
(皮膚に付着した汗の成分を落とし、清潔を保つようにする。乾いたタオルでは落としきれない)
・肌を傷つけると皮膚バリア機能が低下するため、ゴシゴシこすらずに押さえるように拭く

ここで、問題は外出時。汗をかいた後はぬらしたタオルで拭くのが一番良いが、外出時にぬれタオルを持ち歩くのは難しい。というわけで、なるべく水の成分に近いウェットティッシュがおすすめです。純粋99%のウェットティッシュ(『シルコット 純粋99%ピュアウォーターウェットティッシュ』/ユニ・チャームなど)が最適。

(2)肌着で汗をコントロールする
・肌着を着用しないと衣服が汗でぬれ、乾きにくいため肌に汗が密着した状態のままになる
・汗を吸って、すぐに湿気を放湿してくれる素材の肌着を選ぶ
・綿素材は汗でぬれたら着替える
・睡眠時にも汗をかくので、吸汗速乾素材を使用した機能性インナーをパジャマ代わりにするのもおすすめ

グンゼ「KIREILABO(キレイラボ)」から発売されている『完全無縫製インナー』は「汗をよく吸い、乾きやすく、体にフィットしやすい」といった特徴の生地が使われていて、夏季の肌着として活用すると真価を発揮します。

(3)高温多湿の環境を避ける
・温度や湿度の変化をこまめにチェックして、エアコンの設定温度を微調整する。夏の肌には、湿度は湿度50%前後がおすすめ。

そして何と言っても重要になってくるのは、肌にやさしい入浴法です。
というわけで“正しき入浴法”と“お勧めできない入浴法”を、以下にまとめました。名付けて、「夏の入浴“ウソホント”」!
○ 固形石けんを手で軽く泡立てて洗う
× ボディーソープをたっぷり泡立て、モコモコ泡で洗う
ボディーソープだと使う量が増え、皮膚の皮脂を必要以上に洗い流してしまいがち。たっぷり泡立てた泡は空気を含みすぎて肌表面への密着度が低下し、角質や汚れが落ちにくくなる。また、濃密で大量の泡を作るために洗浄成分を多く使用しているものもあり、肌への負担が大きい場合もある。
固形石けんを軽く泡立て、手でなでるように洗い、週一程度に綿の手ぬぐいなどで洗うようにする。肌への刺激の強いナイロンタオルは避けた方が良い。

○ シャワーを肌に当て過ぎず、軽くすすぐ
× すすぎはシャワーでしっかり洗い流す
皮脂を取り過ぎてしまうと皮膚のバリア機能が弱まり、炎症を起こしやすくなる。シャワーの水圧だけでも皮脂は洗い流される。
すすぐ際の刺激も肌に悪い影響を与えるため、同じ箇所にシャワーを当てるのは3秒まで。掛け湯ですすぐのが肌に一番やさしい。

○ 体を温めず、ぬるま湯で体の熱を下げる
× 夏場でも体を冷やさないように温める
体温が上がるとかゆみが増すため、38℃前後のぬるま湯で体を温めすぎないようにする。また体が熱くなると交換神経が優位になり、睡眠に入りにくくなる。
副交感神経を優位にするためにもぬるま湯で入浴する。
入浴後は体の熱を下げてから衣服を着用し、さっぱりタイプの化粧水などで保湿を。

なるほど……。今まで、かなり誤解していました。特に「ボディーソープよりも固形石けんを」とか「シャワーを肌に当て過ぎない」とか「掛け湯が最も肌にやさしい」とか。

あせもが起こりやすい一方で、周囲に肌を見せる機会も多発のサマーシーズン。どうせなら、ツヤツヤの素肌を見せつけたいですよね!
(寺西ジャジューカ)
編集部おすすめ