「今なにしてる? 忙しい?」
「ちょっと手伝ってもらえますか?」

こんなメッセージがきたら、LINE乗っ取りによる詐欺と思ってほぼ間違いありません。この後は「今手が離せないので代わりにこれを買ってきて欲しい。
お金は後で払うから」とWebマネーやiTunesカードの画像などが送られてきます。友人からだと思い、買って番号を送ると、そのポイントを取られてお金は返ってこないのです。友人としかコミュニケーションをとらないLINEを利用した犯罪行為ですね。

最近はこの手口がずいぶん広まったせいか、カードを買って被害に遭う人はずいぶん少なくなりました。それどころか面白いことを言って大喜利にしようと考えたり、乗っ取られたIDの人に別の手段で連絡を取ってやられているよと伝えたり、ダミーブログ&アクセス解析を用意して相手に踏ませようと考えたり、「天安門事件」と入力したり、さまざまな返答方法が考案されています。

でも、ちょっと待ってください。こちらが面白いことを考えている間に、乗っ取り詐欺犯人は裏でひどいことをするかもしれません。

それは、『グループを崩壊させる』ことです。

LINEを使っている友人が周囲にたくさんいれば、みんなで話すグループを作っている人も多いのではないでしょうか。乗っ取り犯は、おそらく乗っ取った人のいるグループで身元確認や、乗っ取られたということを拡散されたりするのを防ぐために、Webマネーを詐取しようとしている裏でグループを壊すこともあるのです。

方法は、順番にメンバーをグループから退会させるだけ。そうして誰もいなくなった後に自分も退会してしまえばグループはなくなります。
それだけなら問題はないように思えますが、いざ崩壊してしまうと過去ログやノート、そしてアップした画像などが失われてしまうのです。

乗っ取られた友人だけが退会ということになっても、その人とのトークは見ることができるのですが、グループがなくなってしまうと再構築するのはとても面倒です。時間が経てば乗っ取り犯は退会(運営が追放している?)するのですが、それまでの間に好き勝手やられたらたまりません。

というわけで、友人から「今なにしてる?」ときたら、真っ先にその友人と一緒に入っているグループを確認するようにしましょう。先に乗っ取られた人を退会させてしまえば、被害はこれ以上広がりません。

●乗っ取りに合わないために

現在LINEでは、乗っ取られないようにさまざまな施策が行われています。

・PINコードを設定する

PINとはPersonal Identification Numberの略です。4桁の数字を設定することができ、ログインにはパスワードの他にPINコードが必要になります。そうすることで、二重にセキュリティを強化します。

・LINEウェブストアやPCログイン時に通知

LINEウェブストアやPCログインを行うと、LINEから通知がくるようになりました。「ログインしました」だけではなく、「ログインできませんでした」という試しにアクセスした場合でも通知がくるようになっています。乗っ取り犯はたいていPCでアクセスしているため、心当たりが全くないのにこの通知がきたら、念のためパスワードやPINコードを変更した方がいいでしょう。


これ以外にも、自分で設定できる対策もあります。

・パスワードを他のものとは違うものにする

LINEとは別なサービスからパスワードが漏れてしまった場合。同じパスワードを設定していたら、LINEにもアクセスされてしまいます。

もし万が一流出したときの事を考えて、LINEにはLINE専用のパスワードを設定するようにしましょう。

・「他端末ログイン」をオフにする

そもそもPC版でログインされるのですから、PCではログインできないほうにしてしまうのも有効です。でも、PC版を使っている人にはちょっと不便になってしまいますよね。

もし万が一乗っ取られたとしても、運営に連絡をすれば購入したスタンプとかは引き継ぐことができます。でも、乗っ取られないようにするに越したことはありません。

友人が乗っ取られた場合には、なるべく被害を最小限に抑えるためにも、カード等を買わないことはもちろん、一緒に入っているグループに注意しましょう。
(杉村 啓)
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