世界三大珍味といえば、フォアグラ、トリュフ、キャビア。“珍味”というくらいだから、本来はめったに味わえない珍しい食材である。
実際、結婚式でくらいしか食べたことがないという人もいるのでは。

ところが昨年あたりから、ファミリーレストランでも気軽に味わえるようなってきた。2013年に「ジョナサン」が販売したフォアグラを使ったメニューは、一部販売制限になるほどの大反響。フェアメニューとしては同年最も売れた商品となった。また、「ココス」でも昨年秋にフォアグラを使ったメニューを販売したところ、あまりに好評だったため、年末年始に再販。そのほか、居酒屋やコンビニにもフォアグラやトリュフを使ったメニューが登場した。


カジュアル店で高級食材を楽しむブームは今年も続いている。現在、ジョナサンでは「魅惑のジョナ三姉妹。」と題したフェアを10月15日まで開催中。今年はフォアグラに加え、トリュフやポルチーニといった高級食材も味わえる。

また、ガストでは9月12日から「秋のプレミアムフェア」として、フォアグラを使用したメニュー「フレンチフォアグラ&ハンバーグ バルサミコソース」(799円税抜)を数量限定で販売している。

なぜ、ファミレスがこのような高級食材を出すのだろうか? 個人的にはリーズナブルな価格はうれしい反面、安かろう、悪かろうではないのかと不安になってしまう。

ガストのマーケティング&プロモーショングループディレクターである堤雅夫さんはこう話す。

「ガストというと、安い低価格のレストランというイメージを持つお客様もいらっしゃると思いますが、安いだけではありません。いかに高品質の料理を、お手頃な価格で提供するかに注力しています。フォアグラのように“聞いたことがあるけれど食べたことがない”という人も多い食材を全国で提供することで、日本の食文化をより豊かにしていきたいと考えています」

ちなみに、今回ガストが提供するフォアグラは、本場フランス・ペリゴール産。EUが優良産地の農産物であることを保証するIGP認定も受けている。さらに、仕入れ先は高級レストランでの使用も多い80年の歴史を持つ老舗ブランド。そこまでしっかりした品質のものが、なぜこれほど安いのか?

「ガストは1350店舗、世界最大級のテーブルレストランなので、いわゆるスケールメリットがあります。
今回、実は生産者からは30数トンにおよぶフォアグラを買い付けました。かなり早い段階から計画生産をしてもらったものです」

実際に食べてみると、臭みもなく、中はしっとり、ふわとろ食感。表面はカリッときつね色に焼き上げられていて、表面と中身の食感のコントラストも見事!
「フォアグラは焼きすぎるとぱさついてしまうし、焼きが足りないと生っぽくなってしまう。フォアグラは50~60度の温度で、表面をカリッと焼き上げたものが一番おいしい。ステーキでいうならミディアムな感じ。ハンバーグが焼き上がったとき、ちょうどよい温度になるよう工夫しています」とメニュー開発担当の樋上悦也さんが教えてくれた。

バルサミコベースにはちみつ、赤ワインが効いたオリジナルソースは、パンにつけてもおいしい。

食欲の秋、今年はファミレスで気軽に高級食材を楽しんでみては?
(古屋江美子)