人は占いが好きだ! 特に占いに強い関心がなくても、毎朝テレビで流れる12星座占いや新聞の占い欄を、ついついチェックしてしまう。そんな占い事情に、日本と海外で違いはあるのだろうか? イギリスと韓国に留学し、外国での占い経験や、有名人からの鑑定依頼も多い占い師・アイビー茜さんに聞いてみた。

日本と海外の占いはどう違う? 占い師・アイビー茜さんに聞く

――ヨーロッパは占星術のイメージですが、現地で人気はありますか? 
あります。ヨーロッパの人は日本と比べ、星座の知識に触れる機会が多いため、自分の12星座を言えるだけでなく、各星座のストーリー、相性などを知っている人が多いです。特に私が一時期いたイギリスは、西洋占星術を大成させてきた国の1つです。世界的な占いの研究機関ですし、ロンドン市内コベントガーデンには、「The Astrology Shop」という有名な占いのショップもあります。

――西洋占星術は東洋のものと違いますか? 
西洋占星術も東洋占星術も、元をたどれば星占い。バビロニア(現在のイラク南部)で生まれ、天文学と関連して発展しました。
西洋占星術は、今では恋愛など個人を占うイメージが強いですが、当時は国の運命を知る手段でした。一方で東洋占星術は、どちらが格上でどちらが格下か、ということを明らかにする傾向が強いです。中国や韓国は「家」というものをとても大事にしますよね。そういう文化が占いにも反映されています。
日本と海外の占いはどう違う? 占い師・アイビー茜さんに聞く
「The Astrology Shop」という有名占いショップの店内

――日本だと血液型占いが定番ですが、海外の人も同じように気にしますか? 
じつは血液型による性格診断は、占いのカテゴリーではありません。そしてヨーロッパでは、血液型の分類はまったくポピュラーではありません。
というのも日本人の場合、比較的均等に4種類の血液型に分かれますが、例えばイギリス人の場合、A型とO型が圧倒的に多いです(NHS:英国民保険サービス調べ)。血液型が偏っているので、それだけで性格を分けられないのです。

――日本の占い事情はどうですか? 
日本人は東洋系も西洋系もやります。さらに日本独自に作られた占いもあり、かなり多様です。占い師の立場も異なっていて、例えば韓国では、占い師になるには誰かに弟子入りする方法が一般的ですが、日本では自由に始める人が多い印象です。ゆえにさまざまな占いが生まれる一方で、玉石混淆です。
最近は、占いのアプリやコンテンツも数多く作られていて、日本は占いのエンタメ化がもっとも進んでいる国です。私も『ルナディア魔曜占い』(iSOAndroid)の監修をしています。

――男女で相談内容に違いはありますか? また海外との違いは? 
女性は恋の相談など、ライトな占いが人気です。男性の場合は、仕事上の決断時期を相談に来られる経営者が多いです。これは日本人の性格でもあるのですが、周囲に自分の悩みを言えない人が多いです。そのため、未来を占ってもらいたいというよりは、占い師に話を聞いてもらい、自分の気持ちをシェアしたい相談者が多いと感じます。
一方で韓国だと、結婚の日取りや引っ越しの方位取りを、占い師に相談する人が多いです。どちらにせよ人の悩みは世界共通ですね。
日本と海外の占いはどう違う? 占い師・アイビー茜さんに聞く
「The Astrology Shop」という有名占いショップの店内

――占いにはいろいろな種類がありますが、どう違うんですか? 
占いは大きく「命術」「卜術(ぼくじゅつ)」「相術」の3つに分けられます。命術は生年月日を用いる占いで、人生の傾向やバランス、バイオリズムを見ます。四柱推命や九星気学、西洋占星術、カバラ数秘術がその代表です。命術は統計的で、自分の属性と他人との相性を、今までの占術の歴史で積み重ねたデータを元に比べます。
そのため「このグループの人はこういう傾向がある」と納得しやすく、相談者もそれを見ることができます。

――タロット占いはどれになりますか? 
卜術です。タロットの他にはコイン、水晶などが使われます。これはカードの組み合わせや光の具合を見て、どのような未来になるのかを占うものです。時々占いのイメージからかけ離れた道具を使って卜術をする人がいますが、要は組み合わせを見ているだけなので、仕組みは同じなんですよ。実際に水晶を使っている人は少ない印象です。


――人相や手相は? 
相術になります。手相というのは、頭の状態や考え方が手に出てきたものです。それを見ながらその人の行動を判断していきます。命術や卜術と比べれば、多少医学的なところがあります。これら「命術」「卜術」「相術」といった3種類の他に霊視もありますが、これは占いではなく、その人の感覚的なものです。
日本と海外の占いはどう違う? 占い師・アイビー茜さんに聞く
英国は占いがカジュアル。あいにく占い師はランチで不在

――アイビー茜さんはユニット「noita」として音楽活動もしていますよね。占いと音楽の結びつきは? 
音楽は気分を変えたりヒーリング効果もあったりするので、1つの悩みの処方箋になればと思い、始めました。誰しも長所は持っていますが、それを上手く使えない人がいます。西洋占星術の考え方だと、本当は積極性のある星を持っているのに、積極性が足りないと思い込んでしまい、それを生かせない人も多いです。そこでまず、各12星座に対応した曲『essential element enlightenment』を作りました。そして今年9月23日には海王星をテーマに、イマジネーションの膨張を意識した新曲『PHANTASIA』をリリースしました。今後、他の太陽系惑星もシリーズ化していく予定です! 

――自分にあった占い師の選び方とは? 
タロットか生年月日か、どういう占いを受けたいかをはっきりさせることが肝心です。そこをはっきりさせず占いを受けると、満足度が低いまま終わります。私も『ルナディア魔曜占』を監修していますが、今はインターネットでさまざまなコンテンツが出ているので、どういう占いが好きか、いくつか試してから占い師に会うことも方法ですね。占いは付き合い方が大切です! 「占いなんて……」と思っている方がいたら、一度占いの面白さに出合いに来てください。本当に楽しいですよ。
(加藤亨延)