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『生ける屍の結末「黒子のバスケ」脅迫事件の全真相』の衝撃。冒頭陳述は間違っていたのか

ここで被告は、「ネット方言」の一類型を通して自己を開示している。こういう自虐的あるいは他罰的な思考にまみれた発言は、匿名掲示板やSNSでよく見る。
いっぽう最終陳述での被告は、独自の臨床経験を持つ高橋和巳医師の洞察に見られた〈社会的存在〉や〈異邦人〉といった概念を独自に発展させて、
「社会的存在vs.生ける屍」
「努力教信者vs.埒外の民」
「キズナマンvs.無敵の人(浮遊霊、生霊)」
という3組の2項対立を駆使し、
・なぜ自分が犯行におよんだか
を説明すると同時に、
・なぜ自分が冒頭陳述でうまく自己を開示できなかったか
をも説明している。

冒頭陳述での自己開示の失敗は犯行それ自体と同根であり、脅迫事件開始以後の被告の2年あまりの人生をふたつに分けるとしたら、逮捕以前と以後ではなく、「被虐鬱」の実態を知る以前と以後、ということになるのだ。
幼少期の虐待といじめから、渡邊被告はこの世界にまったく受容されていないという自罰的な世界観を構築していた。しかも、それが自分の世界観(認知)ではなく〈客観的〉な事実だと思いこんでいた。

もちろん犯行の責任主体は渡邊被告という個人だ。渡邊被告の半生を知って、「甘えるな、そんなのはおまえの努力が足りなかっただけだ」と軽蔑をあらわにしてしまう人もいるだろう。けれど、そういう他罰的発言を支えている感情こそ、
「俺だって頑張ってヤケも起こさず生きているのに……」
という原初的な口惜しさなのではないか? 被告は最終陳述に、

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「『生ける屍の結末「黒子のバスケ」脅迫事件の全真相』の衝撃。冒頭陳述は間違っていたのか」の みんなの反応 1
  • 匿名さん 通報

    結局言いたいのは「加害者もかわいそうな人だったんだよ!」か。可哀想なのは被害者だろ…

    8
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