前編では、クローゼット&押入れ→水回り→リビングの順に片づけていく「3日片づけ」メソッドについてうかがいました。
後編は「ひとりぐらしの場合は?」「オタクは片づけられるの?」「過去何回も挫折してきた私の部屋、一体どうすればいいんですか!?」といったことについて聞いていきます。

■ひとりぐらしの3日片づけ
──本で紹介されているのは家族や一軒家のエピソードが多いですが、一人暮らしの方のエピソードはあるでしょうか。
石阪 40代独身ですごく結婚願望のある方。お部屋は2DKだけど、引っ越しやさんに「4人家族ですか?」と言われたくらい荷物がいっぱいあった。「どうしたいんですか、どんな暮らしがしたいんですか」「私結婚したいね〜〜ん! 彼氏はいてんねんけど、家を見せたらムリって言われた!」。
──ああ……「結婚したらこんな家に住むことになるのか」って思われちゃったんですね……。
石阪 家だけは見せぬまいと思っていたのに、酔った勢いで見せてしまったんですって(笑)。ドン引きされて、別れるまではいかなかったんだけど、結婚は遠ざかってしまった。「この古ーいエステの機械でキレイになってるどころちゃうやん? ゴールは結婚!」と片づけを開始。押入れの中を全部出して、古いピチピチの服や、「痩せたら着よう!」って服から捨ててもらいました。
──「痩せたら着よう」はダメなんですか?
石阪 痩せたらね、新しい服ほしくなりますよ。似合うものが変わります。
──す、すごい。たとえばワンルームや1Kみたいに、いろんな用途のものが一部屋に散らばっていてどうしていいのかわからない人がいると思いますが、そういう場合はどうすれば?
石阪 そういう方もまずクローゼットや押入れからやっていきます。最終的にそこに全部入ればいいんですけど、ポイントはゾーン分けすること。衣類のコーナー、読書・書類・勉強のコーナーはここ、って。一軒家だと「パパのゾーン」「ママのゾーン」「子どものゾーン」と決めてもらうんですが、ひとりぐらしの方は「自分が何をする場所か」をしっかり決めてもらいます。
──そうしていくと、ひとり暮らしの人でも奇跡が起きる……。
石阪 ひとり暮らしはがんばれば1日で終わりますよ! 誰からも文句を言われないし、判断するのは自分。「もっと勉強するためのスペースがほしい」「これから私はお料理の先生になるための勉強をするんだ」「彼氏を呼んで毎日ごはん攻めにしてやる!」とか、目的を見つけたら、そのためのお部屋にしたらいい。
■オタクはどうすれば部屋が片づくのか?
──私はオタク寄りの人間で、漫画や本やアニメグッズを捨てられないし捨てたくないないんです。世の片づけ本はそういう、いわば収集癖がある人のことをあまり取り上げていない。オタクはどうすれば部屋が片づきますか?
石阪 大好きなんですよね。
──「好きなものがあるから部屋が汚くてもしょうがない」ではなく、「好きなもののために部屋をつくる」という意識なんですね。
石阪 大好きなものを粗末にする必要はないですよ! 掃除グッズ、着ない洋服……そういうものが邪魔している。大好きなものをいったんきれいにしまうと、「これ以上物を増やすと、きれいに置けなくなっちゃうな」という気持ちになります。私は食器が大好きだけど、これ以上増やすと美しくなくなってしまうので、今あるものを処分しない限り増やしません。
──「集めたい!」という人はどうすればいいんでしょうか。
石阪 ミニカーをすごくきれいに壁面収納している方に聞いたら、増えた場合は保管する場所にお金を出して預けていらっしゃいますね。
──お金を出してまで持っていたいものかどうか。耳が痛いです……。
石阪 本がいっぱいある、みんな大好き! と思っていても、本当に心に置いておきたい、家に残しておきたい本は少ないこともありますよ。これはお洋服の例になりますが、すごくオシャレが好きで「絶対に服は捨てられない!」と言っている方の片づけを手伝ったことがあります。
──いわゆる服オタ。
石阪 本当に大好きだったら、書類を減らして洋服の場所を増やさなきゃいけないな、と思ってました。でも一枚一枚見ていくと、実際に好きな服、着る服は決まっているんです。サイズが合わなくて直しに持っていこうと思っている服も、お直し代金1600円をかけてまで着たい服か考える。そうすると、物は減っていきますよ!
■実際にアドバイスをもらってみた
──せっかくお会いできるので、私の汚部屋の写真を持ってきました……(※片づけ挫折の記録は電書カプセルの連載に詳しいです)。

石阪 うんうん、そうですね! 一番触ってない、ここは見てないなーってところはありますか?
──あ、ここ(写真右手前)にウォークインクロゼットがあるんですけど、半年くらい扉を開けてないです……。ウォークインできないので……。
石阪 じゃあ、そこからです!

──このクローゼットの中、母の服が入ってるんですよ。
石阪 お母さんの洋服は全部ここに?
──いや、和室に箪笥とクローゼットがそこにあって、ほとんどそっちにあります。そもそも私の部屋の入り口が物で埋まってるせいで、母はクローゼットに入れてません……。
石阪 でも捨てられないんですね。お母さんのものはいったん手を付けずに進めてみましょう!
──どういう順番でがんばればいいでしょう。
石阪 まず、床に落ちてるものを拾って、スペースを作りましょう。たぶんいま一番困っているのは洋服じゃないかな? このお部屋、美帆子さんのコートやワンピースをかける場所がないですね。
──椅子の背にかけたりしてます。
石阪 じゃあ、最初クローゼットの中で、美帆子さんの服を置くスペースをお母さんからちょっとだけもらいましょう。
──なんかめちゃくちゃ簡単に終わるような気がしてきました。
石阪 簡単でしょ? 最後はお母さんにクローゼットをあけてもらいたいですね。美帆子さんがきれいにするために頑張れば、お母さんの心は動きますよ。娘が頑張って片づけているんだから、私はこうしてはいられない、と思うはずです。「お母さん、服捨ててよー」「あんたもそんなん言う前にリビングの自分のもの持っていきなさいよー」じゃなくてね。
──うちの生活をご覧になってたんですか!?
石阪 ピカピカにして、「やってみようかな」「いいなあ」と思ってもらう。そこに持っていくために、ひたすらゴミ袋を持って定数量にして、大事なグッズはかわいく飾って。お母さんが「片づけるのちょっと手伝ってくれない?」と変わってきたら、一緒に頑張ってあげましょう!
──はい!
石阪 片づけられなかった自分のことを嫌いになっている人って、きっと多いと思うんです。
石阪京子『一生リバウンドしない 奇跡の3日片づけ』(講談社)
(青柳美帆子)