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「心の闇」も「空洞」もない、人はただ破滅する『死にたくなったら電話して』

「心の闇」も「空洞」もない、人はただ破滅する『死にたくなったら電話して』
『死にたくなったら電話して』李龍徳/河出書房新社
李龍徳(イ・ヨンドク)の文藝賞受賞作『死にたくなったら電話して』(河出書房新社)。
大阪の十三(じゅうそう)と南森町、京都の河原町が小説の舞台。あと神戸の王子公園と須磨離宮がちょっと出てくる。
主人公の徳山久志はイケメン浪人生だ。大学受験ですべり続け、べつに医学部志望というわけでもないのに、この大学全入時代に珍しく三浪中。今年は予備校に行かずに宅浪中である。
居酒屋のアルバイト以外には勉強しかすることがない──のに、おそろしくものを知らない!ということが、小説を読み進めていくうちにあとのほうでわかる。

バイト先の仲間といっしょに行った早朝キャバクラで、〈淀川区でいちばんの美人〉キャバクラ嬢のミミちゃんこと山仲初美が、営業用でないプライヴェートの連絡先をいきなり渡してくる。
徳山は初美との交際に最初はまったく乗気でなく、なにかたちの悪い勧誘なのではないかと薄気味悪く思って避けていたが、いつの間にか初美の住むタワーマンションに上がりこんでしまう。
初美の本棚に〈並ぶ本のタイトルには「殺人」「残酷」「地獄」「猟奇」「拷問」といった、おどろおどろしい文言が多くひしめいていた。「!」マークがやたら多いし、フォントもいちいち返り血を模したような仰々しさだ〉。スカムカルチャー路線か?
初美はマルクスだの精神分析だのも読んでいる。にっかつロマンポルノが〈侘しくて、切なくて〉好き。聴いてる音楽は村八分とかポンチャック・ディスコ。典型的なサブカル者だ。

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