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ポスト「パズドラ」なるか。 3DS版から異例のスマホ展開、ソリティア×競馬ゲーム「ソリティ馬」の挑戦

ポスト「パズドラ」なるか。 3DS版から異例のスマホ展開、ソリティア×競馬ゲーム「ソリティ馬」の挑戦
ニンテンドー3DS版から異例のスマホ展開、「ソリティア」×「競馬」=「ソリティ馬」
ゲームデザインとビジネスモデルには密接な関係があります。格闘ゲームがゲーセン向けに開発されたのは3分100円というビジネスモデルゆえ。家庭用ゲームでRPGがヒットしたのも数千円でウン十時間という形態に合っていたから。ガラケーのソーシャルゲームでカードバトルが流行ったのもアイテム課金(そしてコンプガチャ)に向いていたからです

逆にビジネスモデルをまたいだ移植はけっこう大変です。中でも鬼門なのがパッケージゲームからF2P(基本プレイのアイテム課金ゲーム)への移植で、キャラクターや世界観だけ借りてきて、まったく違うゲームに作り替えちゃうのが一般的。ところがこの常識を覆す挑戦者が登場しました。トランプのソリティア(一人遊び)と競馬ゲームを融合させた「ソリティ馬」です。

本作は2013年にニンテンドー3DS向けのダウンロードゲームとして有料配信(500円)され、その人を食ったタイトルと、まったく異なる要素の融合、そして思わず夢中になる高い完成度で隠れた名作になりました。それに留まらず、2014年11月にスマホ向けのF2Pゲームとして配信がスタートしたんです。約1ヶ月で10万ダウンロードと数字的にはこれからですが、業界的に目が離せない存在になりそうです。

ゲームはプレイヤーが騎手となって競走馬を駆り、数々のレースに挑戦していくというもの。馬の能力や成長、配合などもさることながら、手綱さばきが勝負を決める「ジョッキーゲーム」の要素が強い点が特徴です。んでもって、この「手綱さばき=ソリティア」なのがミソ。ざっくり、ソリティアがうまいとレースが有利に進められる仕組みになっています。

レースは「スタート」「中盤」「ラストスパート」の三部構成で、スタートと中盤ではトランプゲームの「スピード」にも似たミニゲームをクリアしていきます。画面上に表示された場札を「1→2→3」といった具合に消していき、繋がらないときは山札を1枚ずつめくっていきましょう。制限時間内に場札を全部消せばクリアで、馬との「折り合い」や「気合い」がアップ。場札が残ると悪化して、最悪「暴走」しちゃいます。

これらの値はラストスパートの直線でモノを言うことになります。ただし時には馬群に埋もれて、力を生かし切れないまま終わることも。他にレース中のポジション取りやアイテムの活用、スタミナ、ライバル馬の能力など、勝負にはさまざまな要素が影響します。家庭用ゲーム版とベース部分がほとんど同じで、かなりガッツリした内容になっているため、久々に熱中しすぎて電車の降りる駅を間違えてしまいました。

ゲームのポイントは名作「パズル&ドラゴンズ」のパズル部分に相当する、ソリティア部分の作り込み。おもしろいゲームに共通して存在する「選択」と「結果」のループ構造が、ぎゅぎゅっと凝縮して詰まっています。「1→2→3→2→3→4・・・」と消していくのも、「1→K→Q→k→1→・・・」と進めるのも、プレイヤーの選択次第。山札の一番上が見られるアイテムなどもあり、ますます戦略の幅が広がります。

また、家庭用ゲームがベースだけに、とにかく演出とサウンドが派手で飽きさせない。遊び方の説明も(うるさいくらい)入り、レース終了後には(勝てなかった時だけ)敗因が表示されるという、スマホゲームの常識を覆す丁寧さです。ただ、いちいち読むのが面倒くさいのも事実なんですよね。公式ブログに細かい説明があるので、「なんだか勝てないなー」という人は一回目を通すと良いでしょう。

こんな風に「すごく遊び込める、おもしろいゲーム」なんですが、ビジネスとして考えると疑問も残ります。無料でガッツリ遊べる一方で、課金ポイントが少なく、広告もなく、ソーシャル要素も最小限。ゲームシステムも複雑で、面倒くさそう。FP2として、ちょっと矛盾した作りになっているんですね。ぶっちゃけ「ものすごく、儲からなさそうな作り」なんですよ。たぶん、すごく珍しい例だと思います。

一つ考えられるのはノウハウの取得でしょうか。パブリッシャーはあの「ポケットモンスター」シリーズで知られるゲームフリークです。同社では基本的に「ポケモン」シリーズだけを、この十数年作り続けています。確かに「ポケモン」はすごいゲームなんですが、やっぱりそれだけだと、いろいろと偏っちゃうんですよね。かたや世の中はすごい勢いで変化しています。そろそろ新しい挑戦を・・・という議論が社内であったとしても、不思議ではないでしょう(注:推測です)。

特に今のところゲームの目的が「強い馬を作る」以外にないので、仮に今後、対戦プレーなどができるようになると、(数少ないであろう)課金ユーザーと(圧倒的多数と思われる)非課金ユーザーの間で、バランス維持が大変だろうなあと思います。非課金でも強い馬は作れますが、それには時間と運が必要で、それを短縮できるのが課金というシステム。結果的に課金した方が強くなりやすいのは道理ですが、それだと勝負が白けちゃいますよね。まあでも、そのあたりの試行錯誤も含めての挑戦なのでしょう。

実際、ポスト「パズル&ドラゴンズ」を求めて、業界では試行錯誤が続いています。ソーシャルゲーム各社が「家庭用ゲームのような完成度の高いゲーム」の開発を進める一方で、家庭用ゲーム中心の企業も、どんどんスマホゲームに注力しています。前者はサーバ技術と運営ノウハウ、後者は高品位なゲーム作りが持ち味。「ソリティ馬」もまた、その一つというわけです。スマホゲームの長所は、どんどんアップデートできるところ。来年以降、どんな風に本作、そして業界が進化していくのか、期待したいところです。
(小野憲史)

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