そこで、今回はマーリンズとはどういうチームであるかを紹介していきたい。

マーリンズはナ・リーグ東地区に所属しており、マイアミにあるマーリンズ・パークを本拠地にしている。このマーリンズ・パークには、変わった仕掛けがある。ホームラン時に電飾などで祝う仕掛けの左中間の巨大なオブジェ(通称"ホームラン・フィーチャー")とバックネットの下にある熱帯魚が入れられた大型水槽だ。

RED GROOMS, Home Run Sculpture, 2011-2012 Red Grooms
mlb.comより
さて、チームとしてはどんな特徴があるだろうか。
■特徴1 オーナーが"糞野郎"
マーリンズの特徴としてよく挙げられるのは、日本でいうとナベツネとでも言うべきか、オーナーがかなり悪名高いという点だ。悪名高いのには理由がある。彼は高額な選手を多く獲得しても、すぐに次々と放出してしまいファンの大きな失望を買う。しかもその一方で、「収益分配制度」という制度を悪用し、自身の私腹を肥やすといういわくつきの人物だ。
■特徴2 今年は本気?
そんな私腹を肥やすことを考え、金を使いたがらないオーナーであるが、今年は違うのではないかとの見方もできる。というもの、右翼手のレギュラーで昨年HR王を獲得したスタントンと、北米プロスポーツ史上最高額なる総額3億2500万ドルで13年もの長期契約を結んだからだ。過去4年は5チーム中の4位以下に終わったマーリンズだが、スタントン以外にも適材適所に良い補強をしたこともあり、今年はプレーオフ進出も十分に狙える立ち位置だ。

(Photo: Charles LeClaire, USA TODAY Sports)
特徴3 若手中心のチーム
また、マーリンズは実力ある若手が台頭するチームだ。例えば、野手だとオズーナやイエリッチ、投手はフェルナンデスやアルバレス、コザートなどがそれに該当する。その影響かベテランは少なく、41歳のイチローを除くと最年長選手は34歳となる。さらには監督も43歳と若く、イチローとは2歳しか年が離れていない。
若手中心のチームであるため、勢いに乗ったら手が付けられなくなるということも充分考えられるだろう。
では、今季のマーリンズのレギュラー陣と軸となる先発投手陣は誰になるのか。アメリカのデータサイトなどを踏まえると以下のようなオーダーになると予想される。簡単な選手の特徴とともに紹介していこう。
■レギュラー野手
・1番セカンド ゴードン
ドジャースから移籍。俊足であり、リーグ最多3塁打と盗塁王(64盗塁)を獲得。
・2番レフト イエリッチ
こちらも足が早く1番も任せられるタイプ。球をしっかり見極める打撃とGG賞を獲得したほどの高い守備力が特徴。
・3番ライト スタントン
メジャー過去最高額となる大型契約を結ぶ逸材。昨年HR王に輝いたほどのパワーは、メジャーでも1番と目される。
・4番ファースト モース
昨年はSFジャイアンツで世界一に貢献。かつてイチローとマリナーズでプレーした影響か、自身のTwitterでイチローのマーリンズ移籍を歓迎するコメントを残す。
・5番サード プラド
去年、ヤンキースでイチローとともにプレーした。本職はサードであるが、昨年はイチローとライトのポジションを争ったことも。
・6番センター オズーナ
長打力があり、高いパワーを持っている(昨年は23HRを放つ)が、三振率が高いなど粗さも目立つ選手。
・7番キャッチャー サルタラマッキア
守備力に難あり。
・8番ショート エチャバリア
キューバ出身で、アメリカへはボートに乗り命がけな亡命をしてやってきた。"バタフライのよう"と称される華麗な守備とリーグ2位タイの三塁打を記録した俊足が武器。
■先発投手
先発投手は1番手から順に、この5人が中心になるのではと考えられる。
・1番手 フェルナンデス
本来はエースを任せられる人物だが、現在は手術の影響で離脱中(今年6月復帰予定)。100マイル近いストレートとカーブが武器で、怪我さえなければメジャー若手投手の中でも1、2を争う逸材。
・2番手 レイト
レッズから移籍。フェルナンデスが離脱中のエース候補。去年は怪我で思うような活躍ができなかったが、過去5年で3回の14勝と実績十分。
・3番手 コザート
昨年、13勝を挙げブレーク。J.ビーバーについてTwitterで「オカマ野郎」と侮辱して炎上するなどグラウンドの外で話題になることも。
・4番手 アルバレス
2013年にはノーヒットノーランを達成。シンカーで相手を打たせて取るスタイルで、昨年は1試合当たりの平均投球数はメジャーで最少。
・5番手 ヘイレン
ドジャースから移籍。10年連続で2ケタ勝利をマークしている。球にスピードはないが、コントロールとスプリットボールが武器という日本人投手のような投球スタイル。
■イチローは何処?

さて、ここであることに気付く。イチローの名前がないではないかと。
しかし、これはある程度仕方がないことだ。というものマーリンズのレギュラー外野陣(イエリッチ、オズーナ、スタントン)はメジャーの中でも最強と呼ばれるほど盤石なものだからだ。そのため、イチローは控えになることが予想される。
とはいえ、彼ら以外の外野手はまったくの手薄といえるため、この3人に怪我があったり、休養を与えたかったりする場合は優先的にイチローが起用される見込みだ。
また、最強と言われていても、それぞれ23歳~25歳と若い彼らにとっては、イチローの今まで培ってきた経験は何ものにも代え難いだろう。
若手の力とメジャーでも"レジェンド"と呼ばれるキャリアを持ったイチローの力が噛み合えば、2003年以来のワールドシリーズ王者にマーリンズが輝くことも夢ではない。
(さのゆう)