「意識高い系」「SNSでやたらと人脈自慢をする」など、周りにいるめんどくさい人とのコミュニケーションには頭を悩まされるもの。
『一番わかりやすいブスのほめ方~感じイイ人だなと思わせる35の社交辞令』(宝島社)でほめ方の監修を務めた溝端隆三氏は、そんな相手だからこそ、褒めた方が良いといいます。

果たしてその理由と、うまい褒め方とは? お話を伺いました。

「意識高い系の男」を褒める


意識高い系、ぶさいくカップルのほめ方 味方につけた方が得?
「意識高い系の男」の生態  ※『一番わかりやすい ブスのほめ方~感じイイ人だなと思わせる35の社交辞令』(トキオ・ナレッジ著 宝島社刊)より


――「意識高い系」という言葉はよく聞きますが、具体的にはどんな人のことでしょうか?
「向上心、行動力があって、情報に敏感、SNSを駆使した人脈作り、リーダーシップを取る、多趣味など自分磨きに余念がなく、とにかく自己プロデュー……いや、セルフブランディングに勤しむ人たちが『意識高い系』です。見た目で判別するなら、ツーブロックで、くるぶしが出したパンツを履いた、お店のテラスでノートパソコンをいじってる人たちですね」

――意識が高いのは悪いことではない気がするんですけど、世間的にはどう思われてるんですか?
「基本的に彼らが言ってることは間違ってはいないんです。ただ、全体的になんかペラいんですよね (笑)。情報のソースはネットからさらった受け売りで、発言もいちいち上から目線で、ファッションもこだわっているように見えて実は他の人と同じ…だったり」
意識高い系、ぶさいくカップルのほめ方 味方につけた方が得?


――確かにそういう人はいますね。
「会話だと、横文字を連発して無意味に分かりにくくしたがるのも特徴の一つです。合意をコンセンサスっていったり、エビデンス、ブレストなんかもよく聞きますけど、単語で出るぶんにはまだマシ。
『あのアジェンダ、まだペンディング中だろ? オーソライズとれた? インセンティブのバジェットはあるから、こっちがイニシアチブ取って。じゃ次のポチュニティ』なんて、「おまえわざ分かりにくくしてるだろ!」とツッコミたくなる、完全にこじらせた人もいます(笑)」

女性で意識高い系だなというのが如実に出るのが「食べ物」。お店を選ぶ基準が、単に「美味しいから」ではなく「流行・話題性」と、珍しい調理法、食材をつかった「変化球系」だ。
「みんなが見ている『食べログ』での平均評価が少なくとも3.5以上で、なおかつ食べ物の見た目が美しい店です。これの何が重要かというと、写真に撮ってSNSに載せた時に『いいね』と反応してもらえるかどうかなんですよね。だから、食べる前の撮影タイムが長い(笑)。
意識高い系が『私(おれ)、意識高い系じゃないですよアピール』によく使う『鳥貴族』ですけど、鳥貴族では写真撮りませんからね」

――確かに。「鳥貴族」ではサッサと食べ始めます(笑)。
「彼女たちを食事に誘って喜ばれるお店は、高級なお店ではない(超有名どころは除く)。いかに斬新なオリジナル料理を出すか、です。その店でしか食べられない名物料理かつ、フォトジェニック。プラスαでコスパ。
その店の満足っぷりはシャッターの数と比例すると思ってください。高いものを食べさせてあげれば喜ぶだろうという時代は終わったのです。本当にめどくさい世の中になってます(笑)」

――そういう人たちを褒める必要がない気がするんですけど、褒めるとしたらどのように褒めるのがいいんでしょう?
「『周りで1番10年後が楽しみな人!』と言うのがおすすめです」

――その心は?
「気づけば成功者になっている可能性も、なきにしもあらずなので嫌われるよりは褒めておいた方が良いんです。バカにしていた人の成功は、自分のバカさ、見る目のなさというブーメランになるのでちゃんとした見極めが大切です」

ぶさいくカップルのほめ方



『勘違いブス・ブサメンカップル』の生態
意識高い系、ぶさいくカップルのほめ方 味方につけた方が得?
『勘違いブス・ブサメンカップル』の生態 ※『一番わかりやすい ブスのほめ方〜感じイイ人だなと思わせる35の社交辞令』(トキオ・ナレッジ著 宝島社刊)より


――また著者の人間性、品格を疑われるようなテーマですが……。
「でも、避けては通れないでしょう(笑)。ただ、本書で取り上げているのはあくまで『勘違いブス・ブサメンカップル』のことです。
互いにB専なのか、愛した人がたまたまブス・ブサイクだったのか、その交際事情を想像するのは性格が悪いというものですが、彼らが問題なのは、とにかく“公共の場でイチャコラする”です。みなさんが嫌悪感を抱く最大の原因はこれ。頭なでなでから始まり、体をベタベタ、濃厚なキス……『こいつら放っておいたらこのままおっぱじめるんじゃね?』と疑うほど過激」

――まわりが見えない状態ですね。
「大きな理由は見せつけたい、2人だけの世界に入り込んでいる、の2つだと思います。いずれにしても厄介で、電車内、自分の向かいの席でスタートされたら次第に不快も限界に達しますし、さらに、こちらの視線を感じた男に『羨ましいだろ~』とでもいいたげなドヤ顔をくらったり、女から『ヤラしい目で見て気持ち悪い』みたいな目で見てきたらもう……ねぇ!?」

――なぜそんなことに?
「見られてる意識がなさすぎる、もう一つは、初めての恋愛(めったにない)で、超絶嬉しすぎてみんなに見せつけたい&見られたいんです」
意識高い系、ぶさいくカップルのほめ方 味方につけた方が得?


――どのように褒めれば?
「『運命の人がほんとにいるなら2人は絶対そうだと思う!』と言いましょう。彼らは公共の場でで平気でいちゃつけるほどのロマンチスト。
ドラマのような熱い恋愛まっただ中にいます。普段から『一生離さない!』などと絶対に言い合っています。恥ずかしくなるワードであればあるほど、彼らに響くはずです」

――ちなみに、褒めるメリットはなんでしょう?
一番、効果を発揮するのは、なにかで紹介してもらった異性がタイプだったときに、ダブルで押してもらえることです。2人のお墨付き、オススメというカタチでのプッシュはかなり強力です。ふつうにデートを誘いにくくても、2人も含めたダブルデート的だったら誘いやすく、相手も乗ってきやすいはずです。その代わりうまくいったときは2人の顔を絶対につぶしてはいけないというプレッシャーもかかってくるのでお忘れなく。


自分とソリが合わない人とは関わらないのが普通だと思うが、例えば秋元康氏は定期的に嫌いな人に会うようにしているという。理由は、嫌いな人というのは、自分に似ているか正反対かのどちらかで、その人のことを嫌いな理由を考えることで、自分の好みや信念などを改めて発見できるからとのこと。敵をつくることにメリットはないので、苦手な人にも会ってみて、褒めてみるのもいいかもしれない。精神力を必要としそうだが……。
(取材・文/やきそばかおる イラスト/栗生ゑゐこ)

『一番わかりやすい ブスのほめ方~感じイイ人だなと思わせる35の社交辞令』(トキオ・ナレッジ著 宝島社刊)発売中。
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