あるジャンルがクレイジーなほどに好き過ぎる旅人たちと一緒に世界を巡り、銃密造の現場や、麻薬らしきものの使用現場、さらには謎の深海や廃墟まで、普通のテレビ番組じゃ見られない映像を次々にオンエアしていることで話題の『クレイジージャーニー』(TBS系・木曜23:53~)。今回は、そんな「クレイジージャーニー」の収録現場での取材をオッケーしてもらった(詳しくは後編で!)。
そして演出の横井雄一郎に深く話を訊く。
「クレイジージャーニー」演出家直撃。丸山ゴンザレスが突きつけるジャマイカの真実を松本人志はどう見たか
『クレイジージャーニー』(TBS系 木曜23:53〜)7.16の放送は、公式ツイッターによると「ゴンザレス氏のジャマイカ取材旅に同行! 国民とマリファナの繋がりに迫る!!●レゲエが生まれたスラム潜入で驚きのマリファナの実態を目撃!●さらに超危険スラムでは、銃に遭遇! 」ドキドキ

どんなにヤバイ映像でも、それがその国での現実


──毎回、衝撃的な旅人を紹介して話題となっていますけど、そもそもこの番組をはじめたきっかけは?

「MCの松本人志さんがずっと好きだったんですが、松本さんって好奇心は強いんだけど、飛行機が嫌いだからあまり海外に行かないらしいんですね。逆に僕はバックパッカーをやっていたこともあり、文化の違いにすごく興味があったので、松本さんにそんな海外のすごい文化や現実を見せたらどんな反応を見せてくれるだろうと……そんなところからスタートしました」
「クレイジージャーニー」演出家直撃。丸山ゴンザレスが突きつけるジャマイカの真実を松本人志はどう見たか
「クレイジージャーニー」演出家・横井雄一郎。TBSテレビ制作局制作二部所属。1981年生まれ、2004年入社。これまで携わったおもな番組に「学校へ行こう!MAX」「リンカーン」「キングオブコント」「ドリームマッチ」など。現在は「クレイジージャーニー」(演出)「水曜日のダウンタウン」(ディレクター)を担当する

──「テレビで放送していいのか!?」というような映像が次々にオンエアされていますが、怒られたりということはないんですか?

「どんなに強烈な映像でも、それがその国では当たり前のことであったり、現実なんだから……という思いで出してはいますね。だから、今のところ社内からは怒られたりというのはありません。むしろ『お前は好きなことをやっていていいな』なんていわれることが多くて。もちろん、本当にダメなところは切っていますけど。現地の人が麻薬らしきものを注射しているシーンの一部始終が撮れちゃったんですけど、スタジオでMCの人たちに見せたらドン引きしてて(笑)、上の人からも『ここまでエグイ映像を入れなくても、十分に伝わるから』といわれて、さすがにそこはカットしました」

──ドキュメンタリーだったら、あえてリアルな現実を突きつけて視聴者まで引かせちゃうという手法もアリだと思いますけど、あくまでバラエティ番組という枠に収めているということですか?「バラエティ番組だから……と考えているわけではないですが、やはりルールはあるので、きちんと相談してダメならやめています」

ジャマイカではマリファナを平気で使っている


──今回はジャマイカ編ということですが、取材に行く場所というのはゲストさん(クレイジージャーニー)主導で決めているんですか?

「そうですね。今回でいうと、丸山ゴンザレスさんが行きたいところ、見たいことを聞いたわけですが、ジャマイカという国では、マリファナが人々の生活と密接な関わりがあるらしくて、その現状を自分の目で確かめたいと。そんな話を聞いたら、番組も是非同行させてもらいたいなと」

──テレビ的ではないですけど、横井さんは好きそうですよね!

「ジャマイカに普通に旅行で行っても、その目線では見ないですからね!ジャマイカには『ラスタファリズム』(アフリカ回帰主義。菜食主義やドレッド、マリファナを聖なるものとして見る思想)という考え方があって、マリファナを日常的に使っていても、それが決して悪いとはいい切れない伝統があるんですよ。日本では考えられないことなんで、それは超気になるなと」

──ジャマイカに行かれたことは?

「ないですね。正月にメキシコに行ったんですけど、やっぱり中南米って少し怖いんですよ。その中でもジャマイカって独特な雰囲気だと思います」──ロケに一緒について行きたかったんじゃないですか?「ホントは他のロケも全部ついていきたいんですよ! でも、他の番組もありますし、『クレイジージャーニー』の毎週の放送もある以上、日本で色んな事をやらなきゃいけないし……。だからロケから帰ってきた素材を見るのがすごく楽しみで。
今回は5日間のロケだったんですが、素材は全部見ますからね」

──ある程度、事前にリサーチはしておくんだとは思いますが、実際に素材を見て一番おどろいたポイントは?

「ジャマイカでもマリファナは、違法ということになっているんで、さすがにみんな、もうちょっと隠れて使っていると思ってたんですよ。だから、実際に現地に行って取材をしていく中で、何とか使用している現場を突き止めた……くらいの感じになるのかと思っていたら、みんなそこらへんで平気で使っていたという。それ以上に、銃を持っている人が普通にいたのはビックリしましたね。しかもカメラを向けているのに、平気で見せてくれるんですもん」

──その辺は予想外だったと?

「もちろん、現地に行ってるディレクターから『こういうものが撮れた』『次はこういうところに行こうと思う』と、その都度連絡が入っていたんで、ある程度把握はしていましたが、実際に映像で見ると衝撃的でしたね」
「クレイジージャーニー」演出家直撃。丸山ゴンザレスが突きつけるジャマイカの真実を松本人志はどう見たか
横井「実際に映像で見ると衝撃的でしたね」

──現地から「トラブッた!」みたいな連絡がくることもあるんですか?

「今のところ、大きなトラブルはないですね。そこはやっぱり、連れて行ってくれるゲストさんたちの方がプロですから。チームが海外ロケに行くと、iPhoneの世界時計に各地の時間を入れておくんですけど、だいたい現地時間の夜に電話がかかってくるんです。そうすると『無事にロケが終わった報告なんだなー』って思えるんで。逆にいつまでもかかってこなかったり、昼くらいにかかってきたら何かトラブルが起こってるってことですからね。幸いにして今のところ大丈夫ですけど」

アジアと違って明るいスラム!?


──それでは今回の放送の見どころは?

「やっぱり……その土地のリアルな生活や文化、考え方が見れるというのが面白いと思いますね。ヤバイものをスクープしに行ったわけじゃないんで、危険な麻薬としてのマリファナを見て欲しい…ということではなくて、ジャマイカの日常にここまでマリファナが根付いているんだという。そこが見どころかなって思います」

──確かに観光番組とはまったく違う、現地のリアルな日常を見ることが出来ますよね。
「どこどこの景色がキレイとか、そういうことじゃなくて、その土地に住む人々の生活を見てもらいたいんですよね。
今回はジャマイカのスラム街にも潜入しているんですけど、生活が苦しい部分もあると思うんですけど、妙に明るいんですよ。アジアのスラム街は少し混沌としているイメージがあるんですけど、ジャマイカは街自体もキレイだし、人々も総じて陽気な感じがしましたね」

ジャマイカのマリファナ事情を取材する予定が、本当に緊張感あふれるスラム街への潜入。さらには銃所持の現実にまで切り込む7月16日放送分の『クレイジージャーニー』。これは地上波バラエティ番組の粋を明らかに超えています!
(北村ヂン)

2に続く
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