■Yell for JAPAN
2014.05.28(WED) at 国立競技場
(※画像50点)

5月31日に56年の歴史に幕を閉じた国立競技場。その“最後の音楽イベント”として5月28日、29日に【JAPAN NIGHT】が行われた。
初日の公演は、音楽プロデューサーの亀田誠治氏が音楽監督を担当。“Yell for Japan”をコンセプトに、いきものがかり、ウカスカジー(桜井和寿+GAKU-MC)、岸谷香、ゴスペラーズ、斉藤和義、スキマスイッチ、ナオト・インティライミ、ファンキー加藤、ゆずの9組が出演した。

まだ明るさの残る中、聖火が灯されたのを合図にイベントはスタート。トップバッターを飾ったのは、赤いジャケットで揃えたスキマスイッチの二人。「全力少年」のイントロで真っ赤な風船が空へ飛び立つと、大橋卓弥のギアも全開。左右に長く伸びたステージを文字通り“全力”で走り抜け、わずか1曲ながら会場の空気をしっかり温めてステージを後にした。


続く2番バッターはファンキー加藤。DJをバックにパフォーマンスすることの多い彼は、この日の亀田誠治率いる“Yell for Japan” special band(Dr:玉田豊夢/Ba:亀田誠治/Gt:小倉博和/Gt:西川進/Key:皆川真人/Key:斎藤有太/Strings:金原千恵子ストリングス)の演奏をバックに歌えることに大興奮。5万人の手が空に上がる光景が圧巻だった「あとひとつ」に続き、「たくさんの応援歌を歌ってきたので、エールを送るのは得意なんです」と言って披露した「輝け」では、ステージから飛び降りて観客の近くで最高のエールを送った。

3番手には天性のお祭り男、ナオト・インティライミが登場。サッカー好きでも知られる彼にとって国立競技場という場所は、聖地であると同時に憧れの地。「光栄すぎて感極まってる」と何度も口にしつつ、「Brave」のほか、コカ・コーラ 2014 FIFA ワールドカップキャンペーンアンセム「The World is Ours!」(6月18日リリース)では、5万人の観客とともにコール&レスポンスを行い会場をがっちり団結させた。


続いて姿を現したのは、女性ソロ・アーティストとしてこの日紅一点となる岸谷香。ショートパンツから網タイツの美脚をのぞかせ、大人の色香で観客を魅了。ステージ上を歌い、踊りながらプリンセスプリンセスの名曲「Diamonds」を披露した。

ゴスペラーズは、集まった観客、そしてパブリックビューイングが行われている東北に向けてのメッセージを美しいハーモニーに乗せながらステージに登場。その歌声を聞き逃すまいと、しんと静まり返った客席に語りかけるように、「ひとり」そして「永遠に」の2曲を歌い上げた。その素晴らしい歌声に観客が酔いしれたのと同じく、彼らもまた、「ここで何度も君が代を歌った」という思い出の地を噛みしめているようだった。


わずかなインターバルの後、ゆずの二人がステージに現れ、聴こえてきたイントロは「栄光の架け橋」。東京オリンピックが行われた国立競技場で聴くこの曲は、一段と感慨深く耳に届く。事前アナウンスでは「栄光の架け橋」のみの披露ということだったが、ここで観客にサプライズ。彼らにとって最初で最後の国立競技場のステージになるため、北川(悠仁)曰く「亀田さんにお願いして」もう1曲追加させてもらったんだとか。「まだ梅雨にもなっていませんが…」という前振りで始まったのは、彼らの定番ソング「夏色」。大喜びではしゃぐ観客を前に、タンバリン片手にステージを縦横無尽に駆け回る北川。
恒例の“もう1回”コールに加え終盤には花火、北川も大きなクラッカーを発射し、会場は大いに盛り上がった。

5万本のLEDスティックが赤く揺らめく中、姿を見せたのは斉藤和義。特徴的なエレキギターが鳴り響き、沸く観客を前に「やさしくなりたい」を熱く歌い上げる。かと思えば、「(国立競技場に)初めて来たんですけど、つい“くにたち”と読んでしまいますね」と、ゆる〜いトークで観客を笑わせることも忘れない。そして、続く「歩いて帰ろう」で軽快な歌声を響かせると、「またね〜」と片手を上げてステージを去っていった。

亀田による「大のサッカー好き」という呼び込みで観客の大歓声に迎えられたのは、桜井和寿(Mr.Children)とGAKU-MCによる新ユニット、ウカスカジー。
サッカー日本代表の公式応援ソングである「勝利の笑みを君と」では、客席に大きなサッカーボールのバルーンが放たれ、聖地・国立競技場のムードも一気にアップ。曲の終盤では客席に向かって2人がサッカーボールを蹴り入れるなど、ウカスカジーならではの演出が行われた。また、この日は亀田誠治プロデュースの未発表曲「mi-chi」も披露。「みなさんのコーラスが入ることでこの曲が完成します!」という桜井の言葉に促され、曲のクライマックスでは5万人の大合唱が会場に鳴り響いた。

そして【JAPAN NIGHT】初日のラストを任されたのは、いきものがかり。まず披露された「ありがとう」は、まるで56年間に渡ってさまざまな感動を生み出してきた国立競技場へ伝えているかのように、心のこもった吉岡(聖恵)の歌声が印象的だった。
イベントを締めくくった楽曲は「風が吹いている」。この曲は、なでしこジャパンや体操男子団体など多くの感動を与えてくれた、2012年ロンドンオリンピックのテーマソング(NHK)だったことでも記憶に新しい。タイトルにぴったりの心地いい風が吹く中、伸びやかにパフォーマンスする彼らこそ、これまでの国立競技場とこれからの国立競技場を繋ぐ象徴のように思えた。曲の終盤にはこの日の出演者たちもステージに再登場したほか、盛大な花火も打ち上げられ、約2時間半に及んだ【JAPAN NIGHT】初日は大成功のうちに幕を閉じた。
(取材・文/片貝久美子)

≪セットリスト≫
●スキマスイッチ
1. 全力少年
●ファンキー加藤
1. あとひとつ
2. 輝け
●ナオト・インティライミ
1. Brave
2. The World is ours!
●岸谷香
1. Diamonds
●ゴスペラーズ
1. ひとり
2. 永遠に
●ゆず
1. 栄光の架橋
2. 夏色
●斉藤和義
1. やさしくなりたい
2. 歩いて帰ろう
●ウカスカジー
1. 勝利の笑みを 君と
2. mi-chi
●いきものがかり
1. ありがとう
2. 風が吹いている

≪関連リンク≫
エキサイトミュージック レポート掲載記事一覧
excite music official Twitter
excite music official Facebook
excite music official YouTube channel