VAMPS 4回目のBEAST PARTY、kenも登場した2日目を詳細レポート/ライブレポート
撮影/岡田貴之、田中和子

■VAMPS LIVE 2015 BEAST PARTY
2015.08.23(SUN) at 幕張海浜公園内 BEACH STAGE
(※画像12点)

「俺はクセになってる。中毒だね」(HYDE)

前身イベントである2012年の【BEAST ON THE BEACH】を含めると、4回目の開催となる【VAMPS LIVE 2015 BEAST PARTY】が、8月22日(土)、23日(日)の2日間にわたり、幕張海浜公園内 BEACH STAGEで行われた。
レポートするのは、L’Arc~en~Ciel・ken(G)のゲスト出演が予告されていた2日目の公演である。

VAMPS 4回目のBEAST PARTY、kenも登場した2日目を詳細レポート/ライブレポート
撮影/岡田貴之、田中和子

飲食ブースには“肉フェス”が出店し、賑わいを見せる会場。樹々の間を通り抜けて海辺へ辿り着くと、ステージと広大な客席エリアが出現。各日2万人・計4万人という過去最高動員のため、見渡す限り人で埋め尽くされているのだが、その奥には広い海と空が広がっていて、開放的な気分になる。

VAMPSの二人は、屈強な男たちに担がれた車に乗り込んで、1曲目「REVOLUTION 2」のフレーズを繰り返しながら、観客目がけて水を噴射しつつ、後方から迫力満点の登場。興奮せざるを得ない幕開けだ。

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撮影/岡田貴之、田中和子

メインステージに辿り着いて「AHEAD」をクールに披露すると、「Welcome to the BEAST PARTY!」とHYDE。「これがないと夏が終われないんじゃないの?」「俺はクセになってる。中毒だね」などと語りながら、「あれ?」と帽子が脱げていることに気付いて探す、微笑ましい一幕も。「(お客さんの)水着に気が取られてね。誘惑されちゃうよ。食べちゃっていいっすかね? 腹減った!」との言葉から、「HUNTING」へ。
花道を歩き、HYDEは容赦なく観客に放水、歓喜の悲鳴があちこちで上がる。夏の野外ならではの賑やかな光景だ。「ANGELTRIP」は力強いボーカリゼーションが印象的で、日に焼けて精悍な面持ちのK.A.Zが仁王立ちで刻むカッティングもまた、心地よく耳に響く。続けて、妖しく乱れた声色でセクシーに「TROUBLE」を歌ったが、無数のシャボン玉が風に舞う情景はイノセントな美しさに満ち、不思議なコントラストを生んでいた。

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撮影/岡田貴之、田中和子

懸念されていた台風も運良く逸れて好天に恵まれたため、「天気ええやん? 雲をあっちにやっといたから」と語ったHYDEは、「そういうことを言うと怒られるから、本当に感謝、ありがとう!」と天に感謝を捧げるかのように、両手でマイクを握りしめる。「こういう空の下に合う曲をやってみようかな」と、澄んだアルペジオからHYDEソロ名義の名曲「SEASON’S CALL」へ。抽象的な表現だが、音の隙間に風が入り込み曲がふわっと膨らむような、得も言われぬ心地よさを感じた。すると、まるで合図を受けたかのように風が強く吹いて来て、K.A.Zがリフを奏でながらセンターの花道を練り歩き、「I GOTTA KICK START NOW」へ。「HELLO」では花道でK.A.ZとJu-ken(Ba)が向き合って奏で合う場面に、目も耳も釘付け。緩急のメリハリがしっかりとついたHYDEの歌声も圧巻だった。

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撮影/岡田貴之、田中和子

やがて、ARIMATSU(Dr)による遊び心と躍動感あふれるドラムソロの後、シャツ姿に着替えたHYDEが再登場し、ゴムボートに乗り込んで客席へと“進水”。観客の頭上を海面に見立て、ファンに支えられながら後方へと進んでいったのである。
やがてサブステージに到着すると、Jitterrin’ Jinnの「夏祭り」をアコースティック・アレンジでカバー。目を閉じてイスに腰掛け、ハンドマイクでしっとりと歌うHYDE。流し目は艶やかで、両性具有的な美しさを感じさせる。溌剌とした原曲のイメージとは全く異なり、気怠さ、和の情緒、夏特有の喪失感などが含まれた表現に息を飲む。その時、空に浮かぶ雲は劇的なほどに美しい文様を描いていた。

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撮影/岡田貴之、田中和子

深い余韻の末、一呼吸おいた大きな拍手が起き、歌い終えたHYDEは「気持ちいいね」と髪を風になびかせる。アコースティック・ギターを抱え、「僕の好きな人が好きだった曲、聴いてください」との言葉から、HYDEソロ名義曲「EVERGREEN」をまずは弾き語りでスタート、やがてARIMATSUのカホーンなど、音が重なって行く。目を閉じてただただ切々と歌うHYDE。曲が終わり、ライトが消えるとあたりはもう真っ暗闇。聴いているこちらも、この時、心の奥深くに降り立っていたような心地がした。

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撮影/岡田貴之、田中和子

ここで、ムードを切り替えて“夏についての話”を語るマイペースなMCコーナーに突入。まるでキャンプファイアーで友人同士が語り合うような、ざっくばらんな空気感が夏の夜らしくて楽しい。
“マッチを擦れる自慢”に端を発して大火事を引き起こしてしまった思い出話を語るJu-ken、続けて、野原を全焼させた経験を語るJIN。少年時代の二人の危険すぎるエピソードに、HYDEは「そういうことって結構、普通にあるのかな!?」と驚愕していた。ARIMATSUは、2008年のVAMPS初年度リハ合宿帰りに起きた珍騒動、K.A.Zは実家の縁の下に住んでいた蛇がペットのジュウシマツ、及びカエルを飲み込んだ衝撃のエピソードを開陳して沸かせた。HYDEは、小学校時代、いじめられながらもよく遊んでいた、近所に住んでいた友人にまつわるほろ苦い思い出話を語った。その子に対し、「悪いことをしたな」と自身の言葉を反省し、今も後悔が胸に残っているそうで、夏になると思い出して切ない、とHYDE。時は流れても決して消え去りはしない想いを抱き続けている……そんな心の在りようは、HYDEの綴る歌詞に顕著に見受けられる特徴ではないだろうか?

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続けて、アコースティックで「THE JOLLY ROGER」を披露。タンバリンを打ち鳴らしつつのラフなスタイルではあるが、歌の表現の豊かさに唸ってしまう。シンプルなアレンジが、大人っぽい落ち着きと凛としたロック感を際立たせていた。そして、圧巻だったのは「MY FIRST LAST」。フラッグのはためき、松明の揺らぎ、そして雲が流れていく空にも風の存在を感じる中、時折鳴らされる鎮魂の鈴の音。1音を何分割もして細かく表情を持たせた、あまりに深いHYDEの歌の表現に惹き付けられていく。日本語訳詞がスクリーンに映し出されていたのだが、そのことで、言葉の意味がより一層深く沁み渡り、“私の人生はあなたを愛することでした”というフレーズには、心を射抜かれた。


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再びメインステージに戻ると、ミラーボールが煌めく中、「ZERO」を投下。「DEVIL SIDE」では炎が噴出し、その熱が、強い海風で冷え切っていた体をもほぐしてくれた。ステージセットのてっぺんから空へと向かい火柱が噴出し、すさまじい迫力の中、スリリングな歌と演奏を披露。「EVIL」へとそのヘビーさ・ダークさは引き継がれ、増幅していく。「夜はVAMPSに任せろ! 全部さらけだして、全部出し切ろうぜ。やれんの? 悪い子になっちゃっていいからね」とHYDEは煽り、「本能の!」(HYDE)「ままに!」(観客)とコール&レスポンスを展開。「THE PAST」「GET AWAY」は、この上なく熱くパフォーマンスしたものの、楽曲の持つクールさがそこはかとない“品”を醸し出し、ワイルドだが美しい、という絶妙の表現になっていた。

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撮影/岡田貴之、田中和子

K.A.ZはMCで、客席を明るく照らしてもらうようリクエスト。「おーい、楽しんでる?」と、遥か後方まで埋め尽くされたファンに呼び掛けた。「毎年やってますけど、すごくいいパーティーになってると思います」と語り、例年よりも動員が多いことにも触れ、「とても温かく迎えてもらって、すごく感謝しています」と述べた。HYDEは「今日はDAIGOの分も楽しみたいと思います」と、同じ空の下『24時間テレビ』(日本テレビ系)でマラソンに挑戦していた盟友を気遣い、その温かい言葉に会場は湧き立った。「MEMORIES」では、HYDEが声の限りを尽くすような歌唱を響かせる姿に、イベントの終わりを感じて少し感傷的な気分になりかけたのだが、「LOVE ADDICT」のイントロが鳴り響いた瞬間、高いテンションに引き戻された。
お待ちかねのken(L’Arc~en~Ciel)が登場、後方からHYDEにすっと近寄り腰を抱いて、悪戯っぽい笑顔を見せる。K.A.Zの狂いのない緻密なカッティングに、ken節炸裂の渋くも伸び伸びとしたギターフレーズが絡み合う。両手を挙げて中央の花道へと歩み出たkenが、後を追うようにやって来たK.A.Zと向き合って弾き合う場面は大熱狂で迎えられた。

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撮影/岡田貴之、田中和子

曲を終え、kenの耳打ちにHYDEがうなづくと、kenは「今年もお中元持って来たんだけど」と、もはや夏の風物詩的な、なくてはならないコーナーがスタート。「幕張でしょ? マク、張ってますか~?」という、意味深な問い掛けに始まり、kenはなんと、様々な種類のコンドームをメンバーの適性(?)を鑑みて選び、各自に手渡して行った。ネタ切れで、HYDEには「マクを取ってください」と“油膜根こそぎ”クリーナーをプレゼント。終始kenらしいユーモアを感じさせ、笑いが絶えなかった。HYDEは「ラルクで会うよりもVAMPSでよく見掛けるんですけど(笑)……もう1曲いいですかね? やっちゃおうか?」とL’Arc~en~Cielの「HONEY」をセッション。冒頭のコードを掻き鳴らすパートはK.A.Zが担い、花道に進み出たHYDEとkenは肩を組んで楽しげに笑顔で歌い、音を奏でていた。kenのギターソロはオリジナルとはかなり印象の異なる、ロック色が強いフレージングで展開、とても新鮮に響いた。熱いコーラスも聞かせ、短い時間ながらも活き活きとした姿を存分に見せたkenは、K.A.Zとハイタッチした後、いつものごとく、風のような速さでステージを去った。

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撮影/岡田貴之、田中和子

最後は、「SEX BLOOD ROCK’N’ ROLL」を放ち、K.A.Zはステージを降りて観客の目の前で大胆なギター回しを繰り返す。
投げキッスの後、「ありがとう! また次に逢えるまで、“首洗って待ってろよ”!」と叫び、ステージを後にした。ハウリングしていた音が途絶えると、夜空には豪華な花火が次々と打ち上げられた。更に、【HALLOWEEN PARTY 2015】の開催、出演者の第一弾発表もなされ、“次に逢える”日がすぐに提示されたことで、会場は大歓喜。熱く美しい、記憶に残る晩夏の一夜だった。
(取材・文/大前多恵)

≪セットリスト≫
●22日
1. I GOTTA KICK START NOW
2. AHEAD
3. HUNTING
4. ANGEL TRIP
5. TROUBLE
6. COSMOS
7. LOVE ADDICT
8. HELLO
9. 夏祭り
10. EVERGREEN
11. THE JOLLY ROGER
12. MY FIRST LAST
13. ZERO
14. DEVIL SIDE
15. EVIL
16. THE PAST
17. GET AWAY
18. MEMORIES
19. LIVE WIRE
20. SANDY
22. SEX BLOOD ROCK N' ROLL

●23日
1. REVOLUTION 2
2. AHEAD
3. HUNTING
4. ANGEL TRIP
5. TROUBLE
6. SEASON'S CALL
7. I GOTTA KICK START NOW
8. HELLO
9. 夏祭り
10. EVERGREEN
11. THE JOLLY ROGER
12. MY FIRST LAST
13. ZERO
14. DEVIL SIDE
15. EVIL
16. THE PAST
17. GET AWAY
18. MEMORIES
19. LOVE ADDICT
20. HONE
21. SEX BLOOD R N' R

≪ライブ情報≫
【HALLOWEEN PARTY 2015】
日程:2015年10月17日(土)・18日(日)
会場:神戸ワールド記念ホール
時間:開場 16:00 / 開演 17:00

日程:2015年10月23日(金)・24日(土)・25日(日)
会場:幕張メッセ国際展示場9・10・11ホール
時間:開場 15:30 / 開演 17:00

第1弾出演者発表
■神戸ワールド記念ホール
10月17日(土) VAMPS / BREAKERZ / ナイトメア / HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA
10月18日(日) VAMPS / BREAKERZ / MY FIRST STORY / HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA
■幕張メッセ国際展示場9・10・11ホール
10月23日(金) VAMPS / BREAKERZ / MY FIRST STORY / HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA
10月24日(土) VAMPS / BREAKERZ / ももいろクローバーZ / 氣志團 / HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA
10月25日(日) VAMPS / BREAKERZ / ゴールデンボンバー / でんぱ組.inc / HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA
and more...
チケット料金:前売り¥9,300(税込)

≪関連リンク≫
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