『TVチャンピオン』(テレビ東京 92年〜08年)といえば「ラーメン王」「大食い王」などが印象的だが、長い歴史の中には「そんな大会もあったの!?」というものもあります。そんなニッチな大会の中から90年代前半に放送されたものを発掘しました。


「第2回 肺人間選手権」(94 年11月放送)


なにしろ「肺が強い人」が優勝するのである。「俺、ひょっとして肺が強いかも」と思う人がいたとしても、応募していいものか悩みそうな企画。内容は、水中の風船を膨らませて割る「水中風船爆発」、ペットボトルの空気を吸ってつぶす競技、ゴム製氷まくらを膨らませて割る競技の「吐いて吸って3種混合」。決勝は息でボールを転がす「息フーフーボーリング」だった。それにしても、肺人間を競ったことにも衝撃だが、一番の衝撃はタイトルにもあるようにこの選手権が2回目の開催だったということである。1回目があったなんて!

「政界選挙通選手権」(93年3月放送)


総選挙で当選した511議席を各区ごとに当選順に書き込む。もちろん、党名や「新」「元」なども記入する。声とシルエットでどの代議士かを当てるクイズも実施。
決勝は100人の代議士についての超カルトクイズ……と、これまたとんでもない難問が続出。選挙といえば、TOKYO-MXの選挙速報で「車庫入れが苦手(岡田克也)」「年に1〜2度はギックリ腰(森英介)」「自らイノシシを解体(槇島かれん)」といった「Twitterでいじってください」と言わんばかりのプチ情報が紹介されるが、「政界選挙通選手権」に出場するような人は、そういうところでも活躍しそうである。

「日本一の汗かき王決定戦」(92年11月放送)


念のため確認しておくが、木曜のゴールデンタイムの放送である。食事時に汗かきのおっさんがうじゃうじゃ登場したのだ。テレビ東京に「遠慮」という2文字がないところが色々な意味で素晴らしい。ちなみに、1回戦はディスコで踊ってTシャツに染み込ませた汗を絞って、容器を汗で一杯にした人から勝ち抜け。2回戦はサウナスーツを着て50本のロウソクを顔から落ちる汗で全てを消す対決。
決勝は辛い鍋料理をつつきながら1時間で1升瓶にどれだけ汗をかくかを競った。

「全国熱帯魚通 選手権」(94年6月放送)


さなかクンを生み出した「魚通選手権」があるのなら「熱帯魚通選手権」があってもいいんじゃないかと言わんばかりの企画。同じ魚なのに「熱帯魚」となった途端におしゃれ感が漂うから不思議である。いや、「サバやさんまはおしゃれじゃない」というわけではないが、決しておしゃれとは言い切れない。内容は、熱帯魚店の水槽にいる500種の中から熱帯魚をすくい上げて、名前でしりとりを行う第1ラウンド。第2ラウンドは、レントゲンやウロコを見て熱帯魚の名前を当てる。決勝は水槽を自由に飾ってセンスを競うというものだった。


「第2回 箸使い名人選手権」(94年10月放送)


第1ラウンドは、なめこやタピオカ、生卵の黄身、ドジョウなどを5メートル離れたところにある器に移す。第2ラウンドは「むいてむいて箸使い勝負」。枝豆、エビの塩焼き、ブドウ、ゆで卵の殻を箸でむき、全てを食べ終えた人が勝ち。決勝は箸による1円玉ドミノ並べ。「箸使い名人選手権」というタイトルだけを聞くと「これだったら、俺でも出られんじゃね?」と言う人が気楽にオーディションに参加してきそうだが、課題の思わぬ難しさに箸のように心が割れて帰ることになりそうだ。

「第2回 駅弁王選手権」(93年7月放送)


タイトルだけを聞くと楽しそうだが、内容は過酷。小渕沢(山梨県)の名物駅弁5種類から、それぞれ足りないおかずを1品選んで弁当を完成させるクイズ。
新宿~松本で売られている駅弁6種の駅名と名称、値段を当てるクイズ。さらに、糸魚川名物「夫婦釜飯」の具を正確に盛り付けるクイズなど実にハード。

知識系の選手権はネットが普及した現在、どんな情報も容易に手に入るが、そうではない時代だと考えると震えあがるような難問ばかり。かといって「汗かき選手権」に出るのはかなりの勇気が必要だ。チャンピオンの道は遠い。
(やきそばかおる)