
最近、『Mr.ビーン』というキーワードがTwitterのトレンドを賑わせた。そう、日産自動車の事件で連日話題となったゴーン会長を見て思い出した人がたくさんいたためだ。
筆者はその強烈なパワーワードにたいへんな懐かしさを覚えたが、どうやら当時の人気ぶりを知らない人も多いらしい。『Mr.ビーン』とは90年代にイギリスで放送されたコメディ番組で、そのスタイルは表情など視覚的なネタで視聴者を笑わせるというビジュアルメインのものだった。
ほぼ視覚情報だけで笑える喜劇
『Mr.ビーン』は、日本ではNHKで放送されたことをキッカケに、ジワジワと存在感を現していった。
海外コメディ番組は吹き替えがほとんど。字幕の場合は文字を追わければならないので映像を見ながらのお笑いの処理は大変だった。それに比べて『Mr.ビーン』はほとんどしゃべらないし、しゃべっても「フガフガ」言ってるだけでもともと何を言っているのかわからない。それなのに自然と笑えるという、他の海外コメディとは一線を画したコンテンツだった。
もちろんそれは、『Mr.ビーン』の表情の変化や彼のリアクションの面白さが世界共通だったからにほかならない。コメディ番組やバラエティ番組にありがちなわざとらしいラフトラック(笑い声)さえ、『Mr.ビーン』の行動の突拍子のなさを追いながらだとまったくいやらしさを感じず、むしろ心地よかった。