ローワン・アトキンソンのMr.ビーン役の引退理由が予想外だった
『Mrビーン』画像はAmazonより

最近、『Mr.ビーン』というキーワードがTwitterのトレンドを賑わせた。そう、日産自動車の事件で連日話題となったゴーン会長を見て思い出した人がたくさんいたためだ。


筆者はその強烈なパワーワードにたいへんな懐かしさを覚えたが、どうやら当時の人気ぶりを知らない人も多いらしい。『Mr.ビーン』とは90年代にイギリスで放送されたコメディ番組で、そのスタイルは表情など視覚的なネタで視聴者を笑わせるというビジュアルメインのものだった。

ほぼ視覚情報だけで笑える喜劇


『Mr.ビーン』は、日本ではNHKで放送されたことをキッカケに、ジワジワと存在感を現していった。

海外コメディ番組は吹き替えがほとんど。字幕の場合は文字を追わければならないので映像を見ながらのお笑いの処理は大変だった。それに比べて『Mr.ビーン』はほとんどしゃべらないし、しゃべっても「フガフガ」言ってるだけでもともと何を言っているのかわからない。それなのに自然と笑えるという、他の海外コメディとは一線を画したコンテンツだった。


もちろんそれは、『Mr.ビーン』の表情の変化や彼のリアクションの面白さが世界共通だったからにほかならない。コメディ番組やバラエティ番組にありがちなわざとらしいラフトラック(笑い声)さえ、『Mr.ビーン』の行動の突拍子のなさを追いながらだとまったくいやらしさを感じず、むしろ心地よかった。


『Mr.ビーン』の予想外の引退理由


イギリスのみならず、200近くの国や地域で人気を博した『Mr.ビーン』だが、終わりは突然やってきた。2012年、ビーン役を演じてきたローワン・アトキンソンがハマり役だった『Mr.ビーン』の引退を表明したのだ。

「50代の男があんな幼稚なキャラクターをやっているのは切ないことだよ」というのが彼の言い分だった。あまりにも冷静な、予想外の答えだったものの、強烈なキャラクターと長年一心同体だった彼の言い分は理解できないわけではない。
引退までには想像を絶する葛藤があったはずだ。

ところが、そんな同情をよそに、ローワン・アトキンソンは2014年にビーン役としてCMに出演したほか、『Mr.ビーン』初回放送から25年を迎えた2015年には、Mr.ビーンの愛車であるミニに乗ってロンドン市内を巡ったり新エピソードを放送するなど、あの引退表明はなんだったんだと思うほどのビーンっぷりを発揮している。

なお、ローワン・アトキンソンは海外ドラマ『メグレ警視』では本当にあのビーン役だった俳優なのか?と目を疑うほど印象が異なる役どころを演じている。そんな彼を見て演技のギャップに驚きつつも、やっぱりまた『Mr.ビーン』の新作が登場するのが密かな楽しみだったりする。

(空閑叉京/HEW)