先日、イチローがマーリンズと1年200万ドルで再契約されたことが発表になりました。イチローファンといえども、ここまで早い契約更新は驚いたのではないでしょうか。
ところでイチローは今までどのような契約をしてきて、どのくらい稼いできたのでしょうか。

【オリックス時代】


1991年、イチローはドラフト4位、契約金4000万円でオリックスに入団しました。その後2年間は2軍生活が長かったのですが、1994年に大ブレイク。日本球界初の200本安打をマークするとともに、打率.385という高成績を残しました。これにともなって、800万円だった年俸は8000万円になり、10倍増となりました。このときのインタビューでは、「セーターを買います。」とあどけない一面を見せます。
その後、イチローは1994年から7年連続で首位打者を獲得するという異次元の成績を残し、年俸も順調に伸び続けていきました。
1999年には初の年俸5億円プレイヤーとなり、日本最終年には5億3000万円まで上がっています。

日本時代にイチローがCM出演やスポンサー料を除き、年俸のみで稼いだ額を計算すると、約20億円であることが分かりました。

【マリナーズ時代】


そしてイチローは2000年のシーズンオフ、ポスティングシステムを利用してメジャーリーグのマリナーズへと移籍します。イチローとの交渉権を獲得するためにマリナーズが支払った額は1312万5000ドル、3年総額1400万ドル(約14億円)で契約しました。
当時は高いのではないかという論調もあったのですが、イチローはメジャー移籍初年度から大活躍し、「お得だった」という声へと変わります。イチローの活躍が考慮され、2003年オフには4年4400万ドル(約44億円)と600万ドル(約6億円)の契約ボーナスを勝ち取りました。

すっかりマリナーズの主力選手となったイチローは、4年契約が切れる2007年オフ、真剣にマリナーズに留まるべきか、ヤンキースなどの強豪チームへと移籍すべきか悩みます。
しかしイチローはマリナーズに残ることを決断。5年総額9000万ドル(約90億円)で契約を延長します。

【ヤンキース時代】


その後もマリナーズで10年連続200本安打を記録するなど、名実ともにマリナーズの顔として活躍してきたイチローですが、2012年のシーズン途中に名門・ヤンキースへと移籍します。途中からヤンキースの一員として2012年を戦ったイチローは、その年のオフに2年総額1300万ドル(約13億円)で再契約します。

【マーリンズ時代】


ヤンキースの2年契約が切れたイチローは、1年総額200万ドル(約2億円)+打席ボーナスで今年1月にマーリンズと契約しました。会見での「これからも応援よろしくとは僕は絶対に言いません。」という、イチロー独特の表現を覚えている人も多いのではないでしょうか。
マーリンズでのイチローは当初「第4の外野手」としての扱いでしたが、スタメン陣の怪我の影響もあり、予想された以上に打席に立つ機会に恵まれました。そのため打席ボーナスを合わせると、今年のイチローは、合計320万ドルを得た計算になります。


ここまで見てきたようにイチローは、かなりの額をアメリカで稼いでいます。計算してみると、球団と契約した年俸だけで、アメリカで約170億円を稼いだことになります。

【世界的にも高給取りなイチロー】


しかもイチローの場合は、球団との契約のみならず、1本1億円以上とも言われるCM出演料やスポンサー契約が入ります。これも合わせるととんでもない額になることでしょう。
実際、年俸に加えてCM出演料やスポンサー契約なども含めた世界のスポーツ選手所得番付では、18位(2006年)にランクインしています。
この年のランキングを見ると上位には、ロナウジーニョやロジャー・フェデラー、コービー・ブライアントなどがおり、そうそうたるメンバーの中にイチローが入っていることが分かります。

【実はお得だった? イチローの契約】


とはいえ、イチローがアメリカへ渡った当時、日本人選手の評価が低かったこともあり、マリナーズはかなり「お得な買い物」をしたという見方もできるでしょう。

実際マー君こと田中将大は、ヤンキースと、7年総額で1億5500万ドル(約161億円)の超大型契約を結んでいます。

最後にイチローは、これら高い年俸についてどう考えているのでしょうか。
イチローは怪我なく、毎日試合に出続けているために準備を怠らないのはなぜかと聞かれて、こう答えています。
「僕、いくら貰っていると思います?」

つまりイチローは、高い収入を得ることはすなわち、それだけの大きな責任が伴うという考え方なのです。そのため、日頃の準備に必要となる家やトレーニング器具にはお金を惜しみません。
こんなところにもイチローのプロ意識の高さが表れているのです。

(さのゆう90)
「Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2011年 1/27号」