かつてドラゴンクエストのエニックスとファイナルファンタジーのスクウェアはJRPGの二大巨頭だった。90年代はまさかライバル同士の2社が合併してスクウェア・エニックスとなるなんて思いもしなかった時代。
そんな中、ドリームプロジェクトと称してファイナルファンタジーの坂口博信、ドラゴンクエストの堀井雄二、鳥山明の3名が手を組むなんて誰が予想できただろうか。かくしてスーパーファミコンソフト『クロノ・トリガー』はPRGファンの期待を一身に受けた中で誕生した。

『クロノ・トリガー』は過去、現代、未来を行き来して地球滅亡から世界を救うという壮大なスケールで描かれており、1度ならず2度でも3度でもプレイしたくなるスルメゲーでもあった。
神RPG「クロノ・トリガー」のマルチエンディング攻略に重要だった「つよくてニューゲーム」
画像はクロノトリガーDS販売サイトより

無双を楽しむ「つよくてニューゲーム」


クリア後にクリア時の強さや技、魔法、アイテムなどを引き継いで初めからプレイできる「つよくてニューゲーム」と明示的に表示したのも『クロノ・トリガー』が初めてだった。

この「つよくてニューゲーム」は、いわば2週目以降のプレイを無双できるモードのことだ。キャラによっては最強装備、最強魔法を使えるといった状態でスタートするため、1週目での多大な苦労がウソのようにサクサク物語を進めることができる。なぜこのようなモードが搭載されていたのか。
それはエンディングが大きく関係している。

12のマルチエンディング


『クロノ・トリガー』(スーパーファミコン版)には12ものエンディングが用意されていた。シナリオやイベントの進行具合に応じて見ることのできるエンディングが異なっていたのだ。「つよくてニューゲーム」は、まだ見ぬ新たなエンディングにたどり着くためには重要な役割を担っていた。

エンディングの中でも特に話題となったのが、ドリームプロジェクトスタッフが登場するエンディングだ。スタッフ陣に話しかけることで開発中の一言を聞くことができたり、開発陣からのいたずらにドキッとさせられたり、いきなり戦闘がスタートしたりとお祭り感満点のエンディングだった。

移植版ではさらにエンディングが追加



『クロノ・トリガー』はPlayStation版(1999年)、ニンテンドーDS版(2008年)、スマホアプリ版(2011年)、パソコン(Steam)版(2018年)、と様々なデバイスに移植されている。
スーパーファミコン版にはなかったイベントムービーや裏ボスといった新要素が追加されたことで、エンディングの種類はさらに増えて14種類となった。

リメイク版、移植版は邪道だなんて憤る人もなかにはいたりするものだが、1995年にスーパーファミコン版が発売されてから早23年。あのとき夢中で冒険を進めた『クロノ・トリガー』を改めてプレイし直してみると、当時は深く考えずに数をこなしていたそれぞれのエンディングの意味を再考することが最高に楽しく、それと同時に大人(おっさん)になったのだなぁと感じるのだった。

(空閑叉京/HEW)