
14話は、こんな話
惣兵衛(柄本佑)がはつ(宮崎あおい/崎の大は立)に着物を贈りたいと、部屋いっぱいに反物を取り寄せていた。その中から地味な露芝を選んだはつに、惣兵衛はまんざらでない顔をする。
その頃、あさ(波瑠)は、旦那さま・新次郎(玉木宏)が出ていったきり帰ってこないまま朝を迎えた。新次郎は初夜から夜遊びする男として、皆に認識されてしまう。
露芝と惣兵衛、弓なりつながり
はつが選んだ露芝を惣兵衛は「派手さはあらへんけどうつくしい柄や。はんなりとしているようで鋭さもある。」と褒める。
はつは、まず旦那さまに着物を選んでくださいとふり、惣兵衛が選ぶ様子がないので自分で選び、それが派手な柄でなかったこと。でも惣兵衛が評価したことでそれに決め、「うれしおすなあ」と控えめに微笑む。この一連のはつの行為は、女に対して偏見をもっている惣兵衛には好ましく映ったに違いない。
露芝は、三日月のように弓なりになった芝草に小さな露の玉をあしらった柄。派手さはないけど・・・鋭さがあるというところに、惣兵衛のことを重ねて考えることもできるのではないか。
登場のときに惣兵衛と重ねて映った能面のアイラインも鋭く美しい弓なり。そのラインにも似た惣兵衛の瞳は、細くて何を考えているかわからないが、その奥に何かある。
決してイケメンとしては描かれてはいない惣兵衛に対して、新次郎は自ら「わて、お面だけはよろしおますやろ」と言う絶対的なイケメンキャラ。それは彼の自虐で、やっぱり何かを抱えているようだが、公的にはイケメンの遊び人キャラを貫く新次郎に、あさはこれからどう対していくのだろうと、ドラマは期待させる。
目を大きく開けて、感情を外へ外へと出していく、明るいあさと新次郎夫婦。
表情は控えめだが、感情の滋味が伝わって来るはつと惣兵衛夫婦。
2カップル、いい対比になっている。
それにしても、「あさが嫁入りしてから一ヶ月、新次郎は毎日夜になるとでかけてゆき、結局、あさといっしょに過ごすことは一度もありませんでした」(語り/杉浦圭子)って、あさのためを思っているのかもしれないが、嫁としてのあさの評判を落とすことになるんじゃないだろうか。余計なお世話だが心配になる。いや、これもじらしテクなのか?
(木俣冬)
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