KinKi Kidsの2人が主演していることで話題となった青春ドラマ『若葉のころ』。1996年の4月~6月にかけてTBSで放送された。
このドラマは、その後のKinKi Kidsの活動の原点とも言える作品である。

主人公たちの生きる葛藤を描いた『若葉のころ』


この物語の核となるのは、堂本剛演じる相沢武司と堂本光一演じる藤木甲斐、それぞれが青春時代を生きる上での葛藤だ。
武司(剛)は、母を亡くし、父と幼い弟と妹との貧しい生活を送っていた。父は自堕落な生活を送っているため、弟と妹の面倒をみるのは武司。アルバイトに精を出しながら、なんとか毎日を懸命に生きる。
一方の甲斐(光一)は、対照的に裕福な家庭で育った。世間知らずから来る彼の無自覚な言動は、武司から見ると高飛車に映ったり、それ故に武司を傷つけたりしていた。
それでも2人は友情を深めていった。

この物語で大きな転機となるのは武司が、八つ当たりする癖のある父と遂に衝突して、危害を加えるところだ。このため、武司は少年院へと入所。そのときに、甲斐が武司の幼馴染である泉(奥菜恵)と付き合うようになり、妊娠までさせる。出所後にその展開を知った2人は決別し、そこからまた物語はさらに進行していく。このように、『若葉のころ』は家族問題、友情と恋愛といったテーマが散りばめられた青春群像劇となっている。


当時のトレンドであった青春作品


ドラマのTBSとも称されるほど、名作ドラマを生み出してきた同局。特に『若葉のころ』が放送されていた金曜9時という時間帯は、青春時代を舞台にした作品が選ばれる傾向が強かった。その代表的なものが明石家さんま主演で話題となった『男女7人夏物語』だ。
当時はどこか楽観的で楽しげな印象もあるが、1990年代後半から放送された作品には悲しさが表層を覆う物語が増えてきた。バブル期が終わり、どこか鬱屈とした時代背景を投影しているのかもしれない。

「若葉のころ」での印象的なシーンはどれも暗いシーンが多い。武司が出所後、甲斐が体育館へ呼び出して、変わらぬ泉への想いを訴えるシーンには、KinKi Kidsの2人が真剣に向かい合う様がファンの中で話題となった。
また、不慮の事故で甲斐が入院し、武司がたびたびお見舞いに来るシーンは、2人が生きていく上でのやり場のなさが感じられる印象的な光景である。

2人の個性が魅力的なKinKi Kidsのその後


「若葉のころ」の出演によって人気ぶりが過熱したKinKi Kids。この年の10月から一気にレギュラー番組が5本始まり、翌年には「硝子の少年」でCDデビューした。その後の活躍は皆さんの知るところだろう。ジャニーズきっての演技派俳優として成長をし続けていく剛と、その後ミュージカル俳優として飛躍する光一。彼らの原点は、2人が真剣に芝居に取り組んだこの「若葉のころ」にあったのではないだろうか。

『若葉のころ』