朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)11月17日(火)放送。第8週「京都、最後の贈り物」第44話より。
原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:西谷真一

44話は、こんな話


10年ぶりに実家に帰ったあさ(波瑠)は、祖父・忠政(林与一)の最期を看取る。
葬儀が終わると、忠興(升毅)は京都から東京へ引っ越して、銀行を作る決意を固める。

女中のわきまえ


あさの実家・今井家が両替商だけでなく呉服屋も営んでいたということが、8週目にして明らかに。「豪商」だからいろいろやっているのだな。

それはともかく、44話はやっぱり、ふゆ(清原果耶)。
実家からの手紙が雨に濡れて「にしにゆく」が「しにゆく」に見えて(ミステリードラマのトリックみたいだ)、誰か家族が死んだと思い込み泣いていたところを、新次郎(玉木宏)に勘違いだと教えてもらう。
それをとがめるうめ(友近)と、なんだか嬉しそうなよの(風吹ジュン)。これから何かよからぬことが起りそう。
うめは、忠実に仕えているあさ以外のひとには、なんだかぶっきらぼう。ふゆの家族の誰かが亡くなったらしいと聞いても、感情の起伏があまりない。女中としていろんな面で人間関係をわきまえているらしきうめに比べて、若いふゆにはそれがなく、境界を超えて、旦那さまに近づいてしまうのが厄介だ。
それに、やっぱり全然涙出てないぞ(小姑目線)。

なんでどすと笑顔


おじいちゃんは最期まで明るかった。
そして、「誰ぞになんでどす? って聞かれたちゃんと教えてあげるんやで」とあさの今後に影響を与えるような言葉を残す。
やがて、わからないことを教える=学校を設立する(1話の冒頭はあさが女子大の設立に尽力した場面)という流れなのだろう。


さらにおじいちゃんは、新次郎が7週でやった、あさのほっぺの大福つまみをやる。それが口角をひっぱって笑顔をつくるアクションに進化し、そのまま、愛しい孫娘のほっぺをつまんで微笑みながら亡くなっていくという、悲しいけれど優しい場面だった。
新次郎とおじいちゃんの視点が似てることが7週で語られているので、おじいちゃんから新次郎にバトンが託されたようにも見えてくる。

バンク!


忠政が亡くなって、忠興は京都を出る決意ができたのだろう。
こうして今井家は東京に出て国立銀行を作ることになる。
これをすすめたのが五代友厚。
久太郎(興津正太郎)が「バンク(BANK)」と言ったときの発音が、ピストルのBANGに似て聞こえた。
ピストルもバンクも、五代があさにもたらすものは、時代に風穴を空けていく。
(木俣冬)

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