大人気ドラマ『相棒』に杉下右京の4代目相棒・冠城亘(かぶらぎわたる)として登場した反町隆史。軽薄ながら切れ者と言うアクの強いキャラクターは、反町の新たなはまり役となりそうだ。

90年代の反町と言えば『ビーチボーイズ』の桜井広海や『GTO』の鬼塚英吉がはまり役だろう。どちらの主題歌も反町が担当している。ドラマと共にご記憶の方も多いはず。

世界的ミュージシャンと組んだ反町隆史 いきなり大ヒットに!


1997年のフジテレビ系『ビーチボーイズ』主題歌『Forever』は反町のデビュー曲。自ら作詞を手掛け、レコーディングはロサンゼルス。しかも、世界的なロックバンド、ボン・ジョヴィのギタリストであるリッチー・サンボラがギターとコーラスで参加し、反町隆史with Richie Sambora 名義でリリースされる異例の扱いだ。反町の音楽に取り組む姿勢の本気度が伺える。
『ビーチボーイズ』の平均視聴率も23.7%と好記録を達成。ドラマ人気も沸騰する中、オリコン最高位3位を獲得、この曲で紅白出場も果たしている。

反町は、この年に行われた「時代の波に乗っている男」、「夏が似合う男」、「今年一番イイ男」のアンケートですべて1位を獲得とまさに絶頂期。
この年発売のファーストアルバム『メッセージ』では全曲の作詞を担当するなど、アーティストとしても大記録を達成する予感が漂い始めていた。ただし、この時点では……。

氷室京介と組んだ反町隆史のセカンドシングル


翌98年4月リリースのセカンドシングル『ONE』では、作曲に反町憧れの氷室京介を迎える。JALのCMタイアップ曲でもあったからか、海を感じさせる『Forever』に対し、空を感じさせる内容の仕上がり。
もちろん、作詞は反町である。
後に氷室がセルフカヴァーするほどの名曲であるが、一般の方の記憶にはほとんど残っていないはず……。そう、インパクト絶大のサードシングルがすべてを飲み込んでしまうのだ。

反町隆史のイメージを一変させた『POISON』の猛毒ぶり


サードシングルは『POISON ~言いたい事も言えないこんな世の中は~』。最終回の視聴率35.7%を記録した大ヒットドラマ『GTO』の主題歌だ。共演がきっかけで、松嶋菜々子と結婚するなど、反町にとって一大転機となるドラマだった。
だが、アーティスト活動にとっても転機になってしまう。唐突に出て来るサビの「ポイズン」のインパクトが強すぎてしまい、ネタ扱いされることが多くなってしまったのだ。
「言いたい事も言えないこんな世の中じゃ」のフリに「ポイズン!」と返すお約束もちょっとしたブームに。
国民的ドラマ主題歌の影響は絶大で、「反町=ポイズンの人」「反町はポイズンの一発屋」と言ったありがたくないイメージも付いてしまう。ロック魂を感じさせる独特のくぐもった歌唱法も、イジられる対象となった。

1999年には映画版『GTO』の主題歌としてアレンジされた『POISON』、2000年には主演ドラマ『ラブコンプレックス』主題歌『Free』をリリースしたが、この年をもってアーティスト活動は休止状態となっている。
『POISON』は文字通り、毒が強すぎたのだった……。

音楽評論家でもあるミュージシャン、近田春夫は反町隆史のドラマにおける存在感を絶賛した上で、歌に関してはこう批評している。
これは彼のレクリエーション。ゴルフと同次元のものだと思う。私は人のオフ(プライベート)に興味はない」
……まぁ、バッサリ斬り捨て過ぎな気もするが、筆者的には反町の「オフ」に興味津々!

『相棒』で共演中の水谷豊は、22年の沈黙を破って歌手活動を再開している。ぜひ反町にもいつか歌手活動を再開してほしいものである。さらに欲を言えば、水谷豊のフラットな歌唱法と反町のくぐもった低音ボイスのハーモニーを聞きたいものである。
(バーグマン田形)
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