
72話はこんな話
五代(ディーン・フジオカ)はあさ(波瑠)を東京に誘う。東京はいま、文明の花が咲き、東京商法会議所ができるのだ。
新次郎(玉木宏)はあさの東京行を許してしまうが、よの(風吹ジュン)が女の先輩としてもの申す。
不潔感のない三角関係
あさの手作り、新選組のからくり人形かわいい。
炭坑にいったとき、山に落ちてるものでつくった、ってそれにしてはかなりちゃんとしてるような。あさって意外とクリエイティブ。お裁縫は得意じゃないのに。
でもやっぱり一番得意なのは、商売。五代に東京の話をされたあさは、大いに興味をもつ。東京一極集中ではなく、地方が力をつけなくてはいけないと考えるところは、なんだか、地方創世をうたっているいまの日本みたいだ。
新次郎は、あさの東京への欲求を理解して、目の上のたんこぶ的存在・五代と一緒にもかかわらず行くことを許してしまう。
あたらしがりやの奥さんを理解して大きく包み込む懐のでかさを見せつけたその直後の新次郎の、困ったような悲しいような顔がユーモラス。
73話は、あさと新次郎の夫婦漫才のようなところもでてきて、「こんなアホ夫婦」と呆れられてしまうほど。
ふたりが仲良しなのは、五代も重々感じているだろうに、あさの未来のためには自分のほうが有利という自信があるのかも。
この関係、あさと新次郎が結婚していなかったら、少女マンガのテッパン・ラブトラインアングルだが、あさと新次郎が夫婦(しかも仲良し)だから微妙。本来、夫婦ともうひとりの男の物語なんて、インモラルな空気を漂わせるはずなのに、全然不潔感がないところが、「あさが来た」の希有な魅力だ。
(木俣冬)
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