
89話はこんな話
言い訳しないで会頭を辞任するという五代(ディーン・フジオカ)に、あさ(波瑠)が「かっこつけてる場合じゃない」と喝。新次郎(玉木宏)や榮三郎(桐山照史)も五代を応援、大阪商人たちの心を動かす。
新次郎と榮三郎が大活躍
「負けたらあかん。他人にやない、自分にだす」
五代の言葉の受け売りとはいえ、このあさの言葉は座右の銘にしたいほど、響く。こうでありたい。
あさは何かと五代の台詞を二次使用しているし、千代はあさの「なんでどす」を二次使用。
言葉や想いを誰かに繋ぐ、というのは、ドラマや映画で好まれるテーマで、目新しくは全くないが、「あさが来た」では盛り込み方の手際やセンスがいい。
まるで、五代が悪者になった時、何かおかしいと感じて、新次郎に調査をさせた榮三郎の手際の良さのように。
頼まれて、重要な記録をたちまち手に入れてしまった新次郎も大したもの。この兄弟、侮れない。
五代がなぜ悪徳商人のレッテルを貼られ追いつめられたのか。
破格の安値で政府から北海道開拓事業を受けたことは事実だったが、それはこの10年の間、政府が北海道を開拓しようと多額の予算をつぎ込んだもののうまくいかず、五代を頼ったのだった。
あれあれ、国が多額のお金を無駄遣いしている話って、どっかで聞いたことがあるような・・・。
「世論がこの話潰さへんかったら誰も損せず北海道も大阪も政府もニッポンもみんなええ思いできたかもわからへんのにな」とマスコミとそれに踊らされる人々に新次郎がチクリ。それもいまも昔も同じようだ。
新次郎は、千代に「お父ちゃんはなんで働かへんのだす?」と上目遣いで聞かれてしまうほどの昼行灯キャラだが、昼行灯は実は仮の姿というのが物語の定説である。それとも、娘の問いかけにぐさっと来て頑張ったのだろうか。
(木俣冬)