そんなカズには今でも夢がある。それはワールドカップのピッチに立つことだ。最もその舞台に近づきながら、立つことを断たれたあの日を振り返る。
苦しみながらもワールドカップ出場を決めた日本
フランスワールドカップ最終予選で、日本代表は苦戦を強いられる。特にカズは最終予選中、得点を決めることが出来ず、激しいバッシングをメディアから受けていた。しかし他の選手の活躍もあり、日本代表は最後の最後でワールドカップ出場を決めたのだ。
フランスワールドカップの出場メンバーは22人。3人の選手が外れなければならない状況だった。選手たちも気が気ではなかったようで、名波浩(現・ジュビロ磐田監督)は「部屋でスタメンになりそうな人を紙で書いて、残りは誰だ?ってなった時に『オレだ』『いいや。オレだ』って言い合っていた」と振り返っている。
名波浩も驚いた三浦知良の代表落選
ワールドカップメンバー発表当日、岡田武史監督から衝撃の言葉が発せられた。
「外れるのはカズ、三浦カズ」
カズのの他には北澤豪、市川大祐が外れることとなり、3人を帰国させたことが明らかになった。この発表には、代表メンバーも驚いたそうで、名波は「まさかカズさんが?と思った」と後に述べている。
帰国したカズは待ち構えていた多くの報道陣に対して「こういうことで帰ってくるとは思ってもみなかった。
岡田武史が語ったカズ落選の理由
フランスワールドカップから10数年経ち、岡田はテレビの生放送でカズ落選の理由を語った。「あのとき僕も若かったし、必死になって考えて……。正直、カズはあのときあまり調子は良くなかったですよ」とカズの不調が原因だったと明かした。そしてカズ外しの決断については「色々と言われたけど後悔はしていません」と述べている。
カズは「現役である以上、W杯への思いは変わらない」と語っており、今でもワールドカップの舞台に立つことを夢見ている。カズが今も現役を続けられている理由のひとつはこのワールドカップへの飽くなき思いなのかもしれない。
(篁五郎)
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