女体の上で猿が走り回る、人々はコレを『ダンシングアイ』と呼び崇めた
『ダンシングアイ』画像はYouTubeチャンネルより

80年代後半から90年代前半にかけて脱衣を賭けた麻雀や花札などのアーケードゲームが数多く登場した。気にはなるものの、そこまで強くないあるいはルールを知らない思春期男子たちは、プレイするおじさんたちをその背中越しに叱咤激励する。
1枚脱がせるごとに「ナイス!その調子だ!」と心の中で声援を送り、負けようものなら「バカ野郎!なにやってんだ!」と、これまた心の中で罵倒したものだ。

そんなスケベ棚ぼた狙い思春期男子たちが、自らの小遣いを手に好奇心赴くままに挑戦したちょっぴりエッチなアーケードゲームがある。それが『ダンシングアイ』だった。

女体の上を走り回るサル


『ダンシングアイ』は、「サル」となったプレイヤーを動かしながら、女の子の服を切り取っていき、下着姿にすればステージクリアというちょっとエッチなアクションパズルゲームだ。単純明快なルールや操作の簡単さは、筆者含む思春期男子たちの財布の紐を緩くした。その節度のなさは、まさに文字通りサルのようだったといっても過言ではないだろう。

服を脱がしたその先に見えるのは、3Dポリゴンで表現されたキャピキャピの女の子たちの下着姿。
現在のように本物と見間違えるほどリアルなグラフィックではもちろんないが、発展途上だったその表現技術でもサルだった我々はこの上なくドキドキできたのだった。加えて、自分のプレイで脱がせているという背徳感がたまらなかった。

さらに、クリア後は一定時間、視点を自由に動かしたり拡大縮小ができたことも大きなポイントだ。仲間とともに「最高のアングルはどこか?」という議論が活発に行われたが、その詳細はここでは明言を避ける。

登場するのは女の子ばかりではない。牛やマッチョマン(♂)、犬、宇宙人など、女の子以外にも「なぜこのチョイスなんだ…」と不思議に思ってしまう選択肢も用意されていた。
これらを選ぶ人がいなかったわけではない。女の子を脱がして背徳感を味わったあとにこれらを選択してプレイすることで、心の汚れを洗浄している気になれるという意味があったのだ。


ナムコご乱心(?)から15年の時を経て高まった期待


当時のナムコ(現バンダイナムコゲームス)が『ダンシングアイ』をリリースした96年当時、こんなゲームを作った同社に対する「ナムコご乱心(?)」という言葉まで生まれた。それから15年後、2011年に『ダンシングアイ』はプレイステーション3専用ダウンロードタイトルとして発売することが発表された。

最新技術でリメイクされるとあって、当時熱中した元思春期男子たちとしては固唾をのんで開発状況を見守っていた。発売日を今か今かと待ちわびていたさなか、諸々の事情で開発中止となってしまったことが残念でならない。
願わくば、VRの世界で再会できる未来に期待している。

(空閑叉京/HEW)