教師と生徒の禁断の恋。こうしたテーマは現在ではドラマや漫画でオープンに語られているが、1993年に登場したドラマ「高校教師」はとにかく衝撃的だった。
高校教師を演じたのは真田広之、女子高生を演じたのは桜井幸子である。

禁断の恋が衝撃的すぎた「高校教師」


脚本は「家なき子」や「愛という名のもとに」でおなじみの人気作家、野島伸司。
ドラマは、高校教師の羽村と女子高生の二宮が出会うところから始まる。教師と生徒という禁断の恋と知りながら惹かれあう2人だが、もちろん社会的に許されることはない。実父から近親相姦され、行き場のない二宮、生徒との関係が発覚し教職を辞すことを決めた羽村。しがらみを乗り越え、ついに堅く結ばれる2人だが……。

このドラマには、教師と生徒の禁断の恋に加え、近親相姦、教師による強姦・妊娠、同性愛など、当時はタブーとされていたショッキングなテーマに深く食い込んだことでも大きな反響を呼んだ。

さまざまな憶測を呼んだラストシーン


視聴者は毎回、運命に翻弄される主人公たちをハラハラしながら見守っていたが、もっとも衝撃を受けたのはあのラストシーンだろう。
二宮を近親相姦していた実父が死に、教師を辞めた羽村は二宮と新潟に行く約束をした。特急電車に乗り込んだ羽村と二宮は、寄り添い合って座席に体をうずめる。小指に赤い糸を巻きつけた二宮の手が、だらりと垂れ下がって物語は終了……。

当時は「これは心中だ」「いや、駆け落ちの途中で寝ているだけだ」など、さまざまな憶測を呼んだ。中には、「羽村が二宮の幻を見ている」「二宮の亡霊だ」などと主張するものもあった。これに対し、脚本家の野島伸司は「二人の生死の決定はもはや作家の圏外で、視聴者が決めればいいと思っている」と述べている。


忘れられない主題歌「ぼくたちの失敗」


当時「高校教師」を見ていた人にとって、もう1つ忘れられないものがある。森田童子が作詞・作曲した主題歌「ぼくたちの失敗」だ。1973年に発売されたこの曲が、1993年のドラマに使われるというのは異例。
森田童子自身はほとんどヒット曲を生み出すことはなく、1983年に芸能界から引退したため、リアルタイムで聞いたという人はほんの一部だった。細々と歌う切なげな声はドラマの世界観とマッチし、情報番組などで「高校教師の主題歌を歌う人は誰だ?」などと紹介される一幕も。

現在はドラマの中で扱われる恋愛や性というテーマは出尽くした感があるが、当時は実にショッキングな内容として話題となった同作。桜井幸子演じる無垢の中にどこか大人びた女子高生にもう一度会いたいという人は少なくないだろう。
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