![サンシャイン水族館からラッコがいなくなる日](http://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252FExcite_review%252Freviewgadget%252F2016%252FE1456016319721_d327_1.jpg,quality=70,type=jpg)
ラッコ飼育のハードルを上げる、繁殖の難しさ
池袋のランドマーク的存在、サンシャインシティ。東條英機などの戦犯を収容したことでも知られる巣鴨プリズン跡地に、同ビルがオープンしたのは1978年のこと。それと時を同じくして、同ビル内に開館し、以来40年近くにわたって老若男女を和ませてきたのがサンシャイン水族館(オープン時の名称は「サンシャイン国際水族館」)だ。
サンシャイン水族館でラッコの展示が始まったのは1984年のこと。早30年という感じだが、その道のりは平坦なものではなかった。
同館のウェブサイトによれば、国際的にラッコ保護への機運が高まったことで、新しいラッコの日本国内への輸入が途絶え、徐々にラッコの展示個体数が減少しつつあるという。2016年1月14日現在、国内のラッコ飼育数は10施設14頭。これは想像していた以上に少ない数字だった。
ネックとなるのは、繁殖の難しさだ。
サンシャイン水族館では、これまでも度々ラッコの繁殖を試みてきたが、上手くいかなかった。そして、2014年に和歌山県の「アドベンチャーワールド」から繁殖のために連れてこられたのが、現在同館で見ることのできる「ロイズ」(雄)である。
動物が子どもたちの娯楽だった時代
私が初めてサンシャイン水族館を訪れたのは、思い返せば、ちょうどラッコの展示が始まった頃だ。ラッコを見たことも、ぼんやりとだが憶えている。しかし、記憶がおぼろげなので、連れて行ってくれた親に確認してみたところ、どんぴしゃり、まさにラッコ目当てだったそうだ。
80年代といえば、いろいろな動物ブームがあった。ウーパールーパー、エリマキトカゲ、コアラ……こうした流れのなかにラッコもある。
とはいえ、正直に言えば、その後ラッコのことはすっかり忘れていた。そして、動物に熱中していた少年(私)は、いつしか動物に縁のないおっさんになっていた
では、そんな男がなぜこうした文章を書いているのかといえば、私事続きで恐縮だが、昨年豊島区に引っ越した記念に、じつはサンシャイン水族館の年間パスポートを購入していたからなのである(目的はラッコではなく、コツメカワウソだったが)。そんなわけで、この何度でも入館可能なパスを握りしめ、ラッコの姿をしかと胸に刻み込むべく展示スペースに向かった。
ラッコを見に行ったら、必ずフィーディングを見るべし!
サンシャイン水族館でラッコを見るなら、日に何回か行われるフィーディング(飼育員による餌やり。
さらには、「はい、写真撮るなら今ですよ」とばかりに、ラッコが客の側を向いて静止してくれるサービスもある。餌欲しさゆえの芸とはわかっているものの、偉いなぁ、健気だなぁと感心してしまう。そして、この時の表情の可愛さといったらない。「もうコイツが見られなくなるのか……」という思いも手伝い、ちょっとウルっとしてしまう。
ちなみに、現在ラッコの水槽の周辺では、展示終了に伴い「ありがとうラッコ ~30年間の感謝を込めて~」という企画も開催中だ。
サンシャイン水族館を賑わせてきた歴代のラッコたちの動画&写真の放映や、ラッコにメッセージを書くと掲出してくれるボードなどがある。ここに並ぶ、主に子どもが書いたであろう、拙いながらも心のこもったメッセージの数々が、また染みるのだ。だから、「ミール、ロイズ、30年間ありがとう」と書かれた紙を見ても、「この2匹はね、途中から来たから、厳密には30年じゃないんだよ。他のラッコたちも合わせての30年なんだよね」なんて揚げ足取りをする気には断じてならないはずだ。
繰り返しになるが、ラッコの展示は2016年2月29日(月)まで。
また、2月22日(月)~29日(月)に来館したお客全員に、ラッコの手形が印刷されたオリジナルポストカードのプレゼントもあるとか。
詳しくはコチラをご覧あれ。
(辻本力)