意外に歴史が古いソックタッチ
このソックタッチ、誕生したのは1972年と、歴史は意外と古い。なんでも70年代に「ハイソックスブーム」があり、そのころ生まれた商品なのだという。確かに当時の桜田淳子やアグネス・チャンなど、白いハイソックスをピシッと履いているイメージがある。
当初は人気商品だったようだが、このハイソックスブームもほどなくして終了。売れ行きも次第に減少しき、店頭からも姿を消したりするようになっていったという。そういわれてみれば80年代あたりは、ツッパリギャルもお嬢さんも、くるぶし辺りの“三つ折り”が流行していた時代だった。
コギャルが見つけたソックタッチ
そんななかやってきた、90年代のルーズソックスブーム。それなりにボリュームがあり、重量もあるルーズソックス。しだいにエスカレートしはじめ、もっとクシュクシュした「スーパールーズ」や「ゴム抜きルーズ」へと発展、それらをいい感じにクシュクシュさせてベストな位置に固定しておくことは、なかなか大変だった。そこに、
「ソックタッチってチョベリグじゃん!」
当時のコギャルがそう言ったかどうかは分からないが、発見した。
しかし、前述のようにソックタッチ、すでに売れ筋からは大きく離れた商品だったため、なかなか入手困難だった。なんでも生産も中止され、製造する機械ももうないような状態だったのだとか。似た商品、競合商品もない。
そのとき、一部のバイタリティあるコギャルたちは、見つけた。
「のりでいんじゃね?」
やっぱりそう言ったかどうかは分からないけれど、文房具のスティックのり、液体のりをふくらはぎに塗って、位置固定する猛者まで登場した。用途が違うので、当然足はガビガビになったりもしたが、それでも「いんじゃね?」だったわけだ。
そして、白元が、動いた。
何が掘り起こされるか、何が再注目されるか分からないという見本のような出来事ではあるが、ソックタッチ、復活である。
当然爆発的にヒット。コギャルファッションの必需品の地位を獲得した。その後、ルーズソックスブームは去るものの、続く紺ハイソックスの時代にも、やっぱり制服ファッションにはハイソックスをピシッとさせるのがカワイイという時代が現在まで長く続き、ソックタッチはそれなりに活躍している。
ソックタッチを襲った危機
しかし、2014年、白元が民事再生法を適用するという事態が訪れた。ソックタッチに再び大きなピンチが襲ったが、アース製薬の子会社、白元アースへと事業を譲渡するかたちで、形を変え存続。ミセスロイドやホッカイロなど同社の人気商品とともに、ソックタッチも販売は継続されたのだ。
ドラッグストアの一角では、今も元気に棚にぶらさがっている元気な(?)姿を確認することができる。
(太田サトル)