80年代から90年代にかけて、家庭用ゲーム機は凄まじい速さで進化を続けていった。この時代に子どもだったこと、その進化を漏れなく見続けてこれたことはとても幸せだったのだなぁと思わせてくれる。
スーパーファミコンを内蔵したテレビの登場
“オシリに火がつく面白さ”というキャッチフレーズとともに登場したスーパーファミコンは、ファミコンから主役の座を奪うのに時間はそうかからなかった。その発売からすぐに、話題がファミコンソフトからスーパーファミコンソフトに変わったと言っていい。
スーパーファミコンはただすごいだけではなかった。本体が発売されて1ヶ月も経たない間に、スーパーファミコンが内蔵された一体型テレビまでもが登場したのだ。
テレビにソフトを差し込めば、スーパーファミコンと同じようにゲームを遊べる。当時小学生だった筆者にとって、まさに夢のテレビだった。家電ショップのゲームコーナー前に設置されたスーパーファミコン内蔵テレビは、多くのファミリー(主に子どもだが)の注目の的だったが、価格が10万円を超えていたこともあり、それを所有しているという家庭は残念ながら筆者の周辺にはいなかった。
意外にも歴史あるゲーム一体型テレビ
筆者が小学生時代に目にしたスーパーファミコン内蔵テレビはまさに衝撃の家電製品だったが、実はあまり知られていないだけでゲーム機と一体型のテレビの歴史は古い。なんとファミコンが発売された同年に、ファミコン内蔵テレビも登場していたのだ。これは日本だけでなく、海外でも発売されていた。
その後、スーファミ内蔵テレビが発売され、限定生産ながらドリームキャスト一体型テレビと発売されるなど、今考えると挑戦的な時代だったんだなと感じる。
2010年にはプレイステーション2(2000年発売)を内蔵したテレビがイギリスで発売された。さすがにこれはいまさら感が拭えない製品だったが、最近のブームであるニンテンドークラシックミニシリーズ(ファミコン、スーパーファミコン)やプレイステーションクラシック、NEOGEO miniといったミニブーム、懐かしゲームブームを見ると、あながち外れた戦略ではなかったようにも思う。
登場する時代がもう少し違っていれば、これらゲーム一体型テレビも大ブームを巻き起こしていたかもしれない。筆者は怖いもの見たさで、“4K対応ファミコン内蔵テレビ”なんてちょっと見てみたい気がする。
(空閑叉京/HEW)