女子高生A「ちはやぶる~ かみよもきかず~ たつたがわ~」
女子高生B・C
「からくれないに みずくくるとはッ!!」
ちはやぶる/かみよもきかず/たつたがは/からくれないに/みづくくるとは/17(竜田川に流れる紅葉の美しさを詠ったもの。在原業平朝臣の一首とされている)
現在、上映中の映画
『ちはやふる』の主人公・綾瀬千早にとっての得意札(自分にとって取りやすい札、試合中に詠まれたら何としてでも取りたい札のこと)となっている首である。
いらか道には流れる水の模様もところどころに彫られている
花見の名所・砧公園と用賀駅をつなぐいらか道。
昭和61年に砧公園内にある世田谷美術館がオープンしたのと同時に完成。同美術館の行き帰りにふさわしく、楽しい道というコンセプトで作られた。花見の時期になると人通りは多くなる。
用賀駅を出るとすぐに第一首
あきのたの/かりほのいほの/とまをあらみ/わがころもでは/つゆにぬれつつ/1 (農作業の辛さを詠った内容。天智天皇の一首とされている)
そこから北に2メートルほど先には、
はるすぎて/なつきにけらし/しろたへの/ころもほすてふ/あまのかぐやま/2 (春が終わって夏がやってきた……!! という季節の移り変わりを詠ったもの。持統天皇の一首とされている)
1首目とは字の大きさが違う2首目。
御垣守/衛士のたく火の/夜は燃え/昼は消えつつ/物をこそ思へ/大中臣能宜/49 (日夜悩み続ける恋の歌)
一首一首たどっていくと、作者の名前が刻まれていたり、漢字で表記されていたり、
今はただ/思いたえなむ/とばかりを/人づてならで/いふもよしがな/左京大夫道雅/63 (悲しい別れをしたのち、なんとかもう一度会えないものかと思いふける失恋の歌)
字体の異なるものも見かける。
いらか道の建造物
水路を跨いだ橋の向こう側や、
もろともに/あわれとおもへ/やまざくら/はなよりほかに/しるひともなし/66 (山籠もり中のお坊さんの孤独感を詠ったもの。前大僧正行尊の一首とされている)
平らに整えられた石壁に一首彫られていることもある。
百人一首のほかには
王様と女王様のイス、
鬼瓦がある。
砧公園の行き方・帰り方
ももしきや/古き軒端の/しのぶにも/なほあまりある/昔なりけり/順徳院/100 (栄えていた過去を懐かしむも、羨む思いが表れた一首)
100首目から少し歩くと環状八号線の向こう側に砧公園が見えてくる。
平日でも人は多い。でも芝生も広いので花見を始めてしまえば窮屈ということはない。
用賀に住んで27年。用賀駅に向かう花見帰りのたくさんの人を見てきた。
「用賀駅はどちらですか?」「あの高いビルを目指してください」という返事が答える側にとっても聞く側にとってもやさしい。
あの真下に用賀駅がある。でも、百人一首で100から若い数字を探していっても用賀駅に必ず着く。
(山川悠)