先日、吉野家の豚丼が4年半ぶりに復活となった。
このニュースには「待ってました!」「牛丼より食べたいかも」など歓迎の声が多く寄せられたのだが、そもそもこの豚丼、牛丼が食べられなくなってしまったための代替メニューとして登場したのをご記憶だろうか?
そう、あのBSE(牛海綿状脳症、狂牛病)問題による牛丼終了騒ぎである。


牛丼終了の“Xデー”は2月11日!


2004年2月9日、吉野家が“牛丼最後の日”を翌々日の11日と発表した。BSE問題により'03年末から米国産牛肉の輸入が停止しており、牛肉在庫がついに底を突いたためだ。
この当時の牛丼は並盛280円。まさに安くて、うまい、庶民の味方だった。
店舗ごとに食材が切れ次第の販売終了であることも発表されたため、翌10日には多くの人々が“最後の牛丼”を求めて吉野家に殺到している。

最後の牛丼を求め、サラリーマンが大行列


当時の新聞報道によると、最大規模の売上を誇る有楽町店には早朝からサラリーマンが次々と入店し、午前8時ごろには63席がほぼ満席状態。正午過ぎの昼休みの時間帯に混雑はピークとなり、店外には一時100人近くが並んだそうだ。通行人の中には行列を記念撮影する人も。SNSが花盛りの今だったら、とんでもないお祭り騒ぎになりそうである。
オフィス街にある浜松町店には、午前11時過ぎからサラリーマンが続々と詰めかけ、42席が満席となり、同店では珍しい行列もできたそう。
新宿副都心の高層オフィスビル群にある西新宿店でも、昼前には順番待ちのサラリーマンらが20人以上の行列状態だったそうだ。

吉野家のメインターゲットであるサラリーマンにとって、11日は建国記念の日で祝日。10日が事実上の食べ納めとなったことも行列に拍車を掛けた形だ。

熱心なファンからは「牛丼以外食べない」「明日から何を食べれば…」の声も


牛丼終了を惜しむ人々の声も異常なまでに熱くなりすぎていた。当時の新聞紙面から拾ってみよう。


週1ペースで牛丼を食べているという20年来の吉野家ファンの40代男性は「牛丼の販売休止後は新メニューは食べるつもりはない」と断言。
狂おしいほどの牛丼LOVE。そこまで頑なになる理由は一体……?

さらに、毎日のように牛丼を食べているという20代男性に至っては、「あしたから何を食べたらいいのか」と困惑する始末。
本気か!? ちょっと落ち着いてくれ!

最終日を待たずして、各地で完売状態に


吉野家によると、祝日の前夜である10日をピークに食べ納め客が殺到。どこの店でも普段の2.5~3倍の入りだったという。牛肉在庫は当初11日午後までは持つと予想されていたが、11日午前6時の段階で、関東地方の8割、東海地方の7割、近畿地方でも6割の店で売り切れてしまったという。

新聞にはこんな声もあった。
「ニュースを見て慌てて食べに来た。今日食べられてよかった」(主婦、70)
70歳主婦まで店頭に走らせるとは、牛丼パワー恐るべし!

2月の寒空の下、行列を作った皆さん!慌てて店に駆け込んだ皆さん!今も牛丼食べてますかーーー!?
(バーグマン田形)
編集部おすすめ