歌舞伎俳優の片岡愛之助との結婚会見では、ノリノリ過ぎるはしゃぎっぷりで反感を買った。
どちらもテンションが上がりきったことが災いしているようだが、そもそも、この「ピュアなテンションの高さ」こそが紀香の持ち味。ブレイク当初の90年代末から、その“芸風”は少しもブレていないのである。
藤原紀香、初代“格闘ビジュアルクイーン”に就任
ブレイクのきっかけは深夜に放送されていた格闘技番組。1996年4月より放送開始のフジテレビ系『SRS(スペシャルリングサイド)』だ。東京に出てきて最初のレギュラー番組で、初代“格闘ビジュアルクイーン”として司会を務めている。
「怖い」「マニアック」といったネガティブイメージで敷居の高かった当時の格闘技界。格闘技が本来持つ、楽しさ・面白さを一般層にわかりやすく伝えるのに、そして新たなファン層の獲得に、明るくさわやかでピュアな紀香のキャラクターが買われたのだ。
司会を始めた当初は、格闘技の詳しい知識はなかったが、誰にも負けない「格闘技が好き」という情熱を武器に猛ハッスル。選手インタビューでは、丹念な下調べと持ち前のテンションの高さで格闘家の親しみやすい一面を引き出すなど、自ら宣言した「格闘技界の広告塔」の役割を全力でまっとうしていった。
『K-1』での大絶叫はもはや名人芸?
『SRS』との連動企画として、『K-1』のテレビ中継で司会を務めたことは大きかった。何しろゴールデンタイムでの中継だ。セクシーダイナマイトボディを強調するド派手なドレスとともに彼女の認知度は一気に拡大する。紀香の持つ“華”は『K-1』中継にゴージャス感をもたらしたが、選手の応援に熱が入りすぎてしまうのが玉にキズ。
「行け~~~~~!!!」「きゃ~~~~~!!!」という絶え間ない絶叫や、応援している選手の勝利にむせび泣く姿、「今の効いてますよ!」と訳知り顔の解説者モードに不快感を訴える視聴者も多かった。
もっとも、格闘技に興味がなかった層やライト層にとっては、喜怒哀楽をハイテンションでピュアに表現する紀香から格闘技観戦の面白さが伝わってきた訳だから、テレビ的には目論見通りか?
実際、テレビ中継を通して多くの女性ファンが動員され、カップルのデート場になるなど、『K-1』の価値は急上昇してプラチナチケットにまでなったのだ。
今は亡きアンディ・フグも、「紀香はK-1の歴史の一部だ」とまで語っている。その功績は計り知れないものがあるといえよう。
藤原紀香の卒業を祝って格闘技界が盛大なおもてなし
1999年3月には『SRS』から卒業となったが、その際には当時の格闘技界が一致団結し、盛大な卒業記念イベントを開催している。『K-1』、PRIDE、空手の極真会館のトップ選手が一堂に介し、桜庭和志vsエンセン井上など、エキシビジョンながら数々の夢の顔合わせを披露したのだ。
格闘技を心から愛し、格闘家たちからも愛された紀香ならではのはなむけ。もちろん、最後を締めくくったのは紀香の感極まっての号泣である。
この頃には11本ものCMに出演、同年4月からのフジテレビ系ドラマ『ナオミ』で初の主演も決まっており、まさに順風満帆。「ピュアなテンションの高さ」が世間に受け入れられていた黄金期といえそうだ。しかし、それも今や昔……。
世間とのズレに気付いていそうもない現在、叩かれ続ける日々はまだまだ続きそうである……。
(バーグマン田形)
※イメージ画像はamazonよりNORIKA―藤原紀香写真集