活動休止期間中にニューシングルをリリース


1994年~96年、次々とミリオンヒットを飛ばし、「ミスチル現象」と呼ばれるほどのブームを起こしたMr.Childrenは、1997年3月より音楽活動を休止して充電期間に入った。

しかし、休養期間にありながら、1998年2月には深津絵里主演のテレビドラマ『きらきらひかる(フジテレビ系)』の主題歌として、シングル『ニシエヒガシエ』(作詞・作曲は桜井和寿)をリリース。
『ニシエヒガシエ』は、休養宣言をしたツアーの最中に出来あがっていたため、覆面バンドとしてリリースしようという話も出ていたそうだ。
けれども、いい覆面バンド名が決まらなかったため、結局はMr.Childrenの名でリリースすることに。
力強いロックサウンド、それまでの楽曲、Mr.Childrenのイメージを打ち破るような、鬱積したものを爆発させるような勢いのあるカッコいいナンバーに、ファンは復帰が遠くないことを感じたに違いない。

けれども活動休止期間中のリリースゆえに、CDジャケットは豊満な外国人女性の写真、PVはビートルズとグラムロックのパロディバンドの映像を使うなど、シークレット的な要素が強い。
毎週ドラマの主題歌としてお茶の間には流れ、オリコンの週間シングルチャートで初登場1位にランクインするなど曲はヒットしたが、当初はテレビの音楽番組などで披露されることはなかった。

中川敬輔と鈴木英哉を含む4ピースバンドが刺激に


Mr.Childrenが活動休止期間中、メンバーの中川敬輔(ベース)と鈴木英哉(ドラム)は、「このまま休んでいるわけにもいかないから、リハビリがてらバンドを組んで曲を作ってライブをしよう」と考えた。
そして1998年、the pillowsの山中さわお(ヴォーカル)、当時MY LITTLE LOVERの藤井謙二(ギター)と共に4人で、『林英男』という名のバンドを結成。
この『林英男』の名前の由来は、中川と鈴木の行きつけの下北沢にある飲み屋のマスターの名前からとったという。

そして楽曲を制作し、下北沢の『CLUBQUE』、渋谷の『屋根裏』『CLUB QUATTRO』でライブ活動を行ない、多くのファンがライブ会場につめかけた。それぞれ事務所が違うこともありCDはリリースしていないが、デモテープを制作してライブ会場で配布した。

『林英男』のライブには、Mr.Childrenの桜井とギターの田原健一も足を運んだ。桜井は、『林英男』ライブで中川の演奏を見て「Mr.Childrenのライブとは違って楽しそうで、しかも上手いと思った」とのちのテレビ番組で語った。(中川は「Mr.Childrenのときも楽しい」と否定していたが。

また、桜井は『林英男』ライブを見て、ギターサウンドを追求した曲を制作したいと思ったという。それが、活動再開後のアルバム『DISCOVERY』『Q』の伏線になったようにも思える。
(佐藤ジェニー)

※イメージ画像はamazonよりCONCERT TOUR 1999“DISCOVERY” [DVD]