その彼が「世界のディカプリオ」になったきっかけとなった映画がジェームズ・キャメロン監督作『タイタニック』(1997年)。その年のアカデミー賞作品賞など11部門で受賞するなど90年代を代表する大ヒット作で、ディカプリオにとっても忘れられない作品であろう。
しかし、彼はこの映画以降、ジェームズ・キャメロン監督作には出演していない。なぜか、撮影時さまざまなよろしくない出来事があったからだ。
『アビス』メイキングで暴露 ジェームズ・キャメロンの"鬼演出"
キャメロン監督はその後、3D映画『アバター』も大ヒットさせ、3D映画ブームに火をつけるなど、映画の技術革新に情熱を注いできた監督だ。それは映画の未来を思えば素晴らしいことなのだが、その一方、とにかく完璧主義で役者の肉体を酷使させる監督だとも言われている。
深海の生命体を描き、90年に日本公開された『アビス』のメイキング映像では、主要キャスト(エド・ハリス、メアリー・エリザベス・マストラントニオなど)がインタビューで、もう2度と一緒に仕事したくないと言わんばかりにキャメロン監督への文句を口にしている。
水の中につかりっぱなしの撮影がいかに辛かったか、何があっても撮影優先のキャメロン監督は、キャストがトイレに行きたいといっても「NO」をつきつけたとか……。
『タイタニック』でも出演者は肉体酷使!
その"鬼演出"は『タイタニック』も然り。ディカプリオは「主人公の葛藤を演じ切りたい」とキャラクター押しをアピールしたが、キャメロン監督は「NO」と言い続けたそう。
これまで見たこともない映像を生み出したいキャメロン監督と演技で観客を引き寄せたいディカプリオは、映画への向き合い方が違うのだ。
ちなみにディカプリオは沈没したタイタニック号から投げ出されて海上をさまようシーンでは水につかりっぱなし。恋人役のケイト・ウィンスレットは、沈没船の中の海水が本物で冷たく、薄い衣裳だった彼女は肺炎になったという噂も。情け容赦ないキャメロン監督の鬼演出に対して、ケイトは「死ぬかと思った」と『アビス』のキャストと同じようなことを言っている。
スター俳優の批判もスルー 実力派監督ジェームズ・キャメロン
キャメロン監督のこだわり満載の演出とキャストの命懸けの演技は報われ、全世界で18億3500万ドルも稼ぎ、映画の歴史に刻まれる名作になった『タイタニック』。レオナルド・ディカプリオもケイト・ウィンスレットも、キャメロン監督作にはもう出ないかもしれない。
しかし、どんなに変人で頑固でイジョーな完璧主義でも、才能あふれる実力派監督であることは確か。全世界に影響力のある人気監督ゆえ、もしスター俳優の二人にふられても、出たい役者はたくさんいるはず。おそらくは無問題でしょう。
(れおなるど)
※イメージ画像はamazonよりタイタニック[DVD]