
いいな〜今のセリフ!こいつの住んでいる世界観が出るよね!
トガタは映画を撮る為だけに生きている。アグニを救出しようとしているのは、映画の主人公として撮影したいだけだし、ネネトを生かしているのもカメラマンをやってもらいたいだけ。前話でやっつけたイワンは、敵と言うより敵役として捉えていた。当然そこへやってきたベヘムドルグの英雄サイモンも同じだ。
「女性は尊いが男と同じような権限はない。常識だ」
女性だったら腸が煮えくり返るようなサイモンのセリフも「いいな〜今のセリフ!こいつの住んでいる世界観が出るよね!」と、あくまで映画の味のある悪役のセリフとして捉える。純粋に良い映画を作りたいから出る発言だ。
昔の映画監督ってこんなイメージ
良いストーリーを期待するあまり、思い通りに行かないと本物の映画監督さながら役者達に激が飛ぶ。サイモンがイワンや自分と同じ再生能力者と知ると「サメとタコが戦うから面白いんだよ!タコとタコの戦い二回見せられてもつまんねーだろ!」と映画“メガシャークvsジャイアントオクトパス”を臭わせるセリフで怒鳴り散らし、カメラマンのネネトに強制カットさせてしまう。
しかし、サイモンとの死闘を制したトガタは「アメコミのラストバトルを彷彿とさせる」と意外にも大満足。そしてカメラを回していなかったネネトに逆ギレする。自分でカットさせておいて逆ギレというのも、よくはわからないがなんだか映画監督っぽい。
ドキュメンタリーは、なかなか思い通りにいかない
不服な表情を見せるも一応納得して次の車両へ。待ち構えていたルナにトガタは我を忘れてブチギレてしまう。それは引き戸を開けた瞬間に不意打ちしてきたからではない。
ベヘムドルグ兵が全滅した後、ネネトは大変な事に気づく。電車の止め方がわからないのだ。トガタは再生能力があるから困らないが、このままでは生身の人間であるネネトは死んでしまう。
しかし焦るネネトを見てトガタは「果たしてカメラガールは生き残る事が出来るのかぁ〜!?」と、嬉しそうにカメラを取り上げる。
トガタはヤラセをするのだろうか?
通常あり得ないキャラ被りのせいでトガタの思うような映画は取れなかった。しかし、逆に思いもよらないネネトのピンチに出会い、トキメキを隠せないでいる。これもドキュメンタリーの面白さなのかもしれない。
今のところ成り行きに任せて撮影をしているが、サイモンとの戦いは意図的にカットしてしまっている。あったものをつまらないからといってなかったように撮影する。
では、トガタはどこまでドキュメンタリーに関与していくつもりなのだろうか?必要と感じれば、ストーリーを捻じ曲げる事もあるのだろうか?もし、ヤラセも辞さないタイプの監督だとしたら、これから復活するアグニは大変な思いをするかもしれない。
アグニが宿敵ドマを追い詰めた。いや、まだ早い。逃がしてしまおう
アグニが悲しむ姿が撮りたい。じゃあサンをアグニに触れさせて燃やしてしまおう
アグニが死ぬ姿で幕を閉じたい。じゃあ殺してしまおう
このように、トガタ監督なりにアグニの魅力を引き立てる為、過剰な演出を加える可能性は十分にありえる。果たして主人公アグニにとって、トガタは味方になるのか、それとも敵になってしまうのか、二人の出会いが楽しみで仕方が無い。久しぶりにアグニが登場しそうな第12話は7月11日配信予定だ。
(沢野奈津夫)