財宝・秘宝
“未知”という言葉が放つ魔力 その力に魅せられた奴等がいる
人は彼等をハンターと呼ぶ
冨樫義博の『HUNTER×HUNTER』の休載が週刊少年ジャンプで発表されてから1週間が経った。冨樫が復活するまでの間、『HUNTER×HUNTER』の単行本を1巻ずつ思い返していく。

ハンターになりたい人は400万人いる。
第一巻は主人公・ゴンがクラピカ、レオリオ、キルアと出会い、ハンター試験を受ける話。会場に到着するまでにも船上での大嵐、ドキドキ2択クイズ、魔獣 凶狸狐の審査などの関門があった。
試験会場にたどり着けるのは1万人に1人の割合。第1次試験に参加した受験者が404名。会場にたどり着けなかった人も含めて概算すると、総志願者は約400万人いることになる。この数字はコンゴ共和国やリベリアの総人口に匹敵する。
(あきらかに雰囲気が違う………!! 港や町ですれちがったハンター志望者達とは異質だ)(単行本p116より引用)
他の受験生の両腕を切断する人、挨拶ついでに下剤入りジュースを飲ませようとする人が登場し、クラピカは受験生たちの実力を肌で感じ取っていた。
フルマラソン2回分は軽く走れるのが400万人に1人の実力
1次試験は試験官・サトツさんについていくこと。大きい歩幅のサトツさんは階段を2段飛ばしで早歩きしていく。受験生たちは走らないと間に合わないペース。しかし、ここでも受験生全体のレベルの高さが感じ取れる。
「オレ以外の人間なんてただのクズ!! オレに利用されて捨てられていくはずのガラクタだったはず!!」(単行本p145より引用)
初めての脱落者は小太りの男・ニコル。現実を受け止めきれず、鼻水、涙、ヨダレをたらしていた。
試験開始から6時間が経過、80kmを通過したところだった。時速にすると13.3km。フルマラソンではレベルの高い一般人くらいのペースだ(世界トップレベルだと女子は時速18km、男子は時速20kmペース)。しかし、42.195kmの倍近い距離を13.3km/hの一定速度で走り続けるのは金メダリストでも厳しいはず。
鍛えられた心肺機能、小太りの体を支える強靭な膝、それなりに重かったであろうパソコンを抱え続けた左腕、そして通気性の悪い服を着てここまでやってきたのだ。ニコルにかなう人は普通の社会ではほとんどいない。
「ヘイ 新人(ルーキー)!!」
「だらしねーぞボーヤ」
「まだ走り出して6時間程度だぜ?」
「こんなトコでへばる奴 初めて見るぜ」ウププッ
そんなニコルに追い打ちをかけたのはアモリ三兄弟。「表彰モンの能ナシ」「クズ野郎」、二度と来るんじゃないと辱めていた。
80kmを通過した地点で汗をほとんどかかず(長男アモリは一滴だけ、次男ウモリと三男イモリは一滴も汗をかいていなかった)に口数多めにしゃべっている三兄弟。これが400万人に1人の実力である。
一方、ゴンはキルアとともに先頭グループを走っていた(キルアは途中までスケボーに乗っていた)。しかし、試験そっちのけで、ヒソカの「試験官ごっこ」に付き合わされるクラピカとレオリオの助太刀に向かっていくのである。
(山川悠)
思い止まらず、コチラにも書きました「HUNTER×HUNTER」復活祈念! 冨樫義博は普段から残酷な空想をしているのか