前代未聞の「愛玩電子メールソフト」
スマホを使うのが当たり前になり、メッセージの交換もメール、LINE、SNSのメッセージ機能など、より気軽に、より楽しくおこなわれるようになってきた今日このごろ。
インターネット黎明期にも、ただメールを交換するだけでなく、ピンクのクマがメールを運んでくれるというソフトがあったことを、忘れかけていた人も多いのでは?
1997年、インターネットが普及したばかりの頃、「ピンクのクマがメールを運ぶ」というキャッチフレーズとともに登場した「愛玩電子メールソフト」が、「ポストペット」だった。
一世を風靡した「ポストペット」
「ポストペット」は、ソネットエンタテインメント株式会社が販売していた電子メールクライアント。ソフトに内蔵されたペットのキャラクターによるメール配達や、ペットの育成、コミュニケーションができ、「ポスペ」という略称で幅広い層に親しまれた。
メインキャラクターは、ピンクのテディベア「モモ」。ソネットのイメージキャラクターとしてCMに出演することもあった。グッズ展開なども盛り上がり、子どもから大人まで当時多くの人に愛されていた。
電子メールというものがようやく一般の人にも使われ始めてきた時期、このキャラクターで遊ぶことのおもしろさがきっかけで、インターネットに親しみを持った若者も多かっただろう。
ペットがメールの送受信・管理をしてくれるだけでなく、ペットに自作のおやつをあげることもできたり、アイテム課金ができたりと、電子ペットとしても中毒性のあるソフトだった。
2000年代に入り、ポストペットブームは過ぎ去ったかのように思われたが、2005年には「Webメール de PostPet」というソネットのウェブメールサービスがリリースされ(2013年9月にサービス終了)、2008年には「PostPet 4you」というWebブラウザとFlashを使用したソーシャルメッセージングサービスにリニューアルするなど、その後も健在。
「PostPet 4you」は2010年にサービス終了したが、モモは今も活動しているようだ。
「モモちゃん」の今
モモは2000年代、「生モモファミリー」として謎の細分化をしており、1996年デビューの「モモ兄」をはじめ、「モモ妹」「モモの花」「MOMOMIX」「モモ末っ子」など、一見してよく違いがわからないが、細かい設定がつけられているキャラクターたちがいる。
現在精力的に活動しているのは「モモ妹」のようで、2013年からは、日本対がん協会によるピンクリボンフェスティバルの公式メッセンジャーに任命されたとのこと。2016年7月現在にも「モモ妹」はブログやTwitterなどの更新を続けている。
ちなみに、モモとその仲間たちのLINEスタンプも、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社からリリースされているよう。LINE全盛期の今、モモがLINEでメッセージを運んでくれると思うと、ちょっと感慨深い。
(空町餡子)
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