去年、母校・近畿大学の入学式で、声帯の全摘出手術を行ったという衝撃的な発表をしたつんく♂。
声を失った後もノートパソコンを持参し、筆談でトーク番組に出演するなど精力的に活動を続けており、現在は「食道発声法」のトレーニングに打ち込んでいるといいます。


さて、つんく♂といえば、数々の人気ミュージシャンを手掛けた音楽プロデューサーとしても有名。特に90年代後半から2000年代前半にかけて、モーニング娘。を国民的アイドルへと押し上げた手腕は特筆すべきもので、この時期、彼に曲を書いてもらいたいと希望する歌手・タレントが続出したものです。
ここでは、そんなつんく♂がプロデュースしたアーティストの中でも「えっ、この人も?」と思えるような意外な歌い手を紹介していきます。

2001年 桜庭裕一郎(長瀬智也)『ひとりぼっちのハブラシ』


ギターのボディをコンコンと叩いてカウントを取る音。視線を合わせる2人の男。男の片方が弦をポロンと弾くと同時に、マイクを持ったもう片方が「ねぇ、君は…」と歌いだす……。曲がリリースされた10数年前と何ら変わらない歌声とメロディ。しかし、そこにいる2人の男は、様々な経験を重ねたせいか、渋みが増したような印象で、見るものを感慨深い気持ちにさせました。
2015年10月。NHKの歌番組『SONGS』にて、上記のように、TOKIOの長瀬がつんく♂が奏でるギターの音色に合わせて『ひとりぼっちのハブラシ』を歌いました。

もともとは、フジテレビのドラマ『ムコ殿』で長瀬演じる架空のミュージシャン「桜庭裕一郎」のために、書き下ろしたこの楽曲。ハブラシという何気ない日用生活品をテーマに失恋を歌い上げる、『シングルベッド』と同じ方法論によって書かれた切ないバラードです。


2001年 えなりかずき『おいらに惚れちゃ怪我するぜ! 』


気力的にも体力的にも充実していたであろう00年代前半のつんく♂には、「頼まれればどんな仕事でも請けます」的バイタリティがありました。そのため当時、「おっさんくさい元子役」としてプチブレイクしていたえなりかずきにも曲を提供。それが『おいらに惚れちゃ怪我するぜ! 』です。
彼が愛してやまないビートルズ風サウンドを取り入れながらも、歌謡曲・演歌のノリも併せ持ったダサくて癖になるこの曲は、つんく♂がメインボーカルを務めたバンド「THE つんくビ♂ト」のライブ時に演奏されるなど、意外と本人もお気に入りな模様。

2002年 上沼恵美子『笑顔を咲かせましょう』


おそらく、つんく♂は目上の人から可愛がられる人物なのでしょう。でなければ、顔が似ているという理由で上沼と仲良くなり、曲を提供することなど不可能。
他にも、五木ひろしの『おふくろの子守唄』、西城秀樹の『粗大ゴミじゃねぇ』、野口五郎『君に逢いたいよ』、けん♀♂けん(研ナオコと志村けん)の『銀座あたりでギン!ギン!ギン!』など、大物歌手のプロデュースも積極的に行っていました。

2001年 大林素子(デカモニ。)『大きな私の小さな恋』


かつて日テレの深夜枠で『AX MUSIC-FACTORY つんくちゃん。』という番組が放送されていました。『ASAYAN』では真剣にアイドルと向き合うつんく♂も、この番組では一転、気楽なノリで歌手をプロデュース。
そこで身長175cm以上の女性を対象とした「デカモニ。オーディション」が行われたのですが、参加者は元バレーボール選手の大林素子ただ一人。結果、見事合格し、ソロなのに「デカモニ。」としてCDデビューしたのです。


お遊び企画だったため『大きな私の小さな恋』の1曲のみのリリースで終わったものの、大林本人はかなりデカモニ。への想い入れが強いらしく、元Berryz工房のハロプロアイドル・熊井友理奈(身長181cm)を勧誘し、再結成を狙っているのだとか。

いかがでしたか? こうして見ると、つんく♂のプロデューサーとしての引き出しの多さが尋常でないことがよく分かります。気力が充実してきたら、また意外なアーティストに楽曲を提供して欲しいものです。
(こじへい)

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