この報道以外にも、「スマスマで香取がキムタクを睨み付けている」「キムタクが“4人をクビにしろ!”とジャニーズに進言した」など、聞こえてくるのは不協和音を通り越した組織瓦解の崩壊音ばかり。
今やメンバー全員が揃うことすら難しそうな状況ですが、かつては和気藹々とした5人の姿を、幾度となくテレビや雑誌で確認できたものです。その仲の良さを伝えるコンテンツとして、16年前、一つの驚くべき番組が放送されていました。
21世紀最後のクリスマス・イヴ、伝説の番組が放送される
「あれ?始まってる?あはは~!始まってるこれ! おーい、SMAP~!始まったぞ~!」かなり広めの個人宅と思われる室内。ソファーに腰掛ける中居が呼びかけ、5人がやってきます。部屋の片隅には電飾きらめく緑色のツリー。時は2000年12月24日の夜。21世紀最後のクリスマス・イヴです。
ユルめのテンションで集まってきたメンバーに、中居が今日の趣旨を説明。この場所がビクターの知人に借りたマンションの一室であること、今年がSMAP結成13年目であること、今世紀ラストとなる聖なる日の前夜をみんなで祝う目的で集結したこと……。それを聞き、何か思慮深げな表情を浮かべるキムタク。「何か不安?」中居が問うと、「何か不安じゃなくて、全部不安!」と答えます。
松たかこや宮沢りえに生電話も! 自由に盛り上がるSMAP
キムタクが不安がるのも当然のこと。何故なら、彼からすると、台本も構成もほとんど知らされていない、日本テレビ系列・ゴールデンタイム2時間の生放送が始まってしまったのです。
この120分間、幅広い層の視聴者から受け入れられるエンターテイメントを、何の打ち合わせもない状態から創り出さなければならないなんて、相当な難題。こんな番組を任せられたタレント自体、おそらくテレビ史上初でしょう。
そんな16年後に「裏切り者」として糾弾される男の心配をよそに、番組は進んでいきます。中居だけは大まかな流れを把握していたかと思いますが、そんなのお構いなしに自由なノリでワイワイ盛り上がるSMAPのメンバー。
パーティーといえばピザだろ! と誰かが言い出し「ドミノ・ピザ」を注文したり、芸能人の友達に生電話しよう! ということでキムタクが松たかこに電話したり、宮沢りえと森本レオを部屋に呼び寄せたり、何の脈絡もなく香取が風呂へ入ったりとやりたい放題。
「素のSMAP」が見られたのも今は昔…
もちろん、テレビですから仕込みはあったはず。しかし、宮沢りえが来た時「宮沢りえはテンション上がるわ!」などとメンバーの誰かが発言したように、いわゆる、フツーの20代男子的反応を連発する「素に限りなく近いSMAP」がそこには映し出されていました。
中居が言います。「(この番組では)俺たちがプライベートで、いつもツアー中だとか、飯食いにいったときとかの雰囲気が伝わってるんじゃない?」と。
嗚呼、時の流れはなんと残酷なのでしょうか! 今やビジネスパートナーとしての関係さえ拒むようになった5人に、眩しいほどの信頼で結ばれた“友人”だった時期が紛れもなく存在し、その親密さをテレビでありのままにさらけ出していたのです。
過去を振り返り「あの時は良かった」などと浸ることは無意味と承知しています。
(こじへい)