応援団が持つ日の丸の扇子は左右で別だった!?

左利きの人はストレスが多いと言われている。世の中のものはどれもこれも右利き用につくられているから、というのがその理由。
ちなみに、筆者は左利きである。
テーブルに並んで座ったときに、隣の人と腕がぶつかると、申し訳なく思う。ほかにも、たとえば、スープバイキングでスープをすくうときに使う、先のとがったおたまは、皿を持ち替えなければならないし、改札口では手をクロスさせなければならない。正直メンドクサイな、と思っていた。
たとえば、はさみであれば左利き用のモノもたくさん販売してくれているワケだが、イマイチ認知度が低い気がする。
そんななか、扇子にも左利き用があるという噂を耳にした。



応援用に作っていた左利き用扇子


さっそく近所の扇子屋に行き、左利き用扇子はあるかと訪ねたところ「そんなもの聞いたこともない」とぴしゃりと言われてしまった。
でも、探してみたら、つくっている業者をいくつか見つけた。その中でも創業1912年という伝統を持つ、名古屋末廣堂の川瀬さんに話を聞くことができた。
どうやら、扇子の根元の部分から逆で、左手の親指で押して開くことができるようになっているらしい。
応援団が持つ日の丸の扇子は左右で別だった!?

――いつから左利き用の扇子をつくっていたんですか?
川瀬さん 「普通の夏柄でつくりはじめたのは2~3年ほど前からですね。それ以前にも、応援用の日の丸柄のものはつくっていました。両手で扇子をもって応援するので。

なるほど。たしかに応援団は、両手に日の丸の扇子を掲げて応援している。

――ちなみに、左利き扇子って需要あるんですか?
川瀬さん 左利きの方は結構買いにこられますよ。
失礼なことを聞いてしまったが、左利きコミュニティでは知る人ぞ知る存在だったのかも。さっそく筆者も買ってみることにした。


実際に使ってみた 驚きの使い心地!


左利きの人が普通の右利き用の扇子を使うとどうなるのかというと、扇子が勝手に閉じてしまったり、両手を使わないと開けなかったりという不便さがあった。

さっそく左手の扇子をみてみよう。
応援団が持つ日の丸の扇子は左右で別だった!?

聞いていたように、扇子の根元のじゃばらに折られた部分が、完全に逆向きになっている。
両手を使って扇子を開いていたのが、左手の親指で押すだけで扇子がパッと開く。最初だけほんの少し違和感を覚えたものの、慣れるとかなり使いやすいことに気付く。ジワジワと感動してきた。
左手扇子を手に入れたことによって今後は、扇子を開く姿がかなりスマートに決まりそうだ。
ありがとう、扇子職人さん。
左利きの人は、是非この夏、左利き用扇子デビューしてみてはいかがだろうか。
(YUE /プロップ・アイ)