大きくてちょっと虚ろなギョロ目に、ふわふわのカラフルな毛。高い声で喋るフクロウのような生き物のおもちゃ……「ファービー」を、当時子どもだった世代は可愛がっていたことがあるのでは?
20世紀末、近未来を感じさせるおもちゃとして人気を集めたペットロボット。
今は押し入れの奥に眠っているなんてこと、ないだろうか。

アメリカで発売された「ファービー」


「ファービー(Furby)」は、アメリカのTiger Electronics社が1998年に発売したおもちゃだ。頭、腹、背中などに5種類のセンサーが内蔵されており、人に相手をされることで成長し、言葉を喋るようになる。ファービーが喋れるのは、「ファービー語」、日本語など約800の言葉。そのほかにも、耳、まぶた、口、身体を動かすことができ、「育てる」うちに愛着がわいてくるようなおもちゃだった。
日本ではトミーから1999年5月に発売され、子どもにも親しみやすい電子ペットとして爆発的に売れた。

同時期にブームになった「AIBO」


思えば当時は「ペットロボット」黎明期。
中でも忘れられないのが、犬の形をしたペットロボット「AIBO」だろう。ソニーから1999年に発売されたAIBOは、定価25万円という高値にもかかわらず、受注販売開始からわずか20分で日本向け3000台の受注が締め切られるという事態に。
ファービーのように受け身ではなく、自律稼働できる個体として「ペット」の役割を果たしたという点で、革新的な商品だった。

ソニーによる修理対応が2014年3月末で打ち切られ、故障したAIBOの修理ができなくなり、ロボットであるAIBOも「死」を免れなくなってしまった。2015年1月に、飼い主によってAIBOの「合同葬儀」が行われたことは話題を呼んだ。

新モデルが発売されている「ファービー」


さて、ファービーのほうはというと、実は2012年10月に、タカラトミーより新モデルが発売されている。
目に液晶パネルが使用されており、アニメーションでの表情の違いを楽しめる。
スマートフォンやiPadなどとの通信ができ、音楽を聴いて踊ったりもする。
イメージキャラクターはアイドルグループ・ももいろクローバーZ。

まだまだ現役のファービーは、「死」とは無縁。ファンシーなもの好き、「アメリカントイ」好きの中には、昔のファービーをバービー人形感覚でコレクションしている人もおり、フォトジェニックなものや90年代っぽいものが目を惹くこのSNS時代、ファービーは再び注目されそうだ。
(空町餡子)

※イメージ画像はamazonよりファービー ブルーベリーブルー
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