スマホ時代の現在においても、未だに「写メ」という言葉は健在。「写メール」の略語であり、「写メる」「写メって送ってー!」など動詞としても使われるが、もともとの携帯メールでの画像送受信サービス「写メール」は、ほとんど廃れている概念だ。


「J-PHONE」が生んだ言葉だった


そもそも「写メール」は、ソフトバンク(当時はJ-PHONE)の登録商標。今の10代はJ-PHONEというブランドすら知らない人がほとんどだろうが、に本テレコムが1997年に制定したデジタルホン・デジタルツーカーの共通ブランド名だ。
内蔵型カメラ付き携帯電話が初めて発売されたのは、2000年11月。しかし、当時はユーザーの使用方法がわかりにくく、ヒットには至らなかったようだ。
しかし翌2001年の夏季キャンペーンより、「写真付き写メール」という名称をつけたところ、大ヒット。これは画像添付が可能だったJ-PHONEのメールサービス「ロングメール」を発展させ、携帯電話で撮影した画像を電子メールに添付できるようにしたサービスだ。

酒井若菜、藤原紀香などが出演していたCMシリーズもインパクト大。
紀香の携帯に合コン相手の男子から「今日のメンツでーす」と写真が送られて来るというCMが印象的だったが、今では当たり前となった「写真を携帯で送り合う」ということが当時はいかに新鮮だったかがうかがえる。

次々に開発されたサービス


「ムービー写メール」「アニメ写メール」などの、短い動画が送れるサービスも次々に開発されていた。
同様のサービスとしては、2001〜2002年にNTTドコモが「iショット」、auが「フォトメール」を展開。他社のサービスまでも世間的には「写メ」という通称で呼ばれるほど、「写メール」はもはや一般名詞として浸透していた。
J-PHONEは2000年にボーダフォングループとなり、2004年にはソフトバンクに買収されソフトバンクグループとなって今に至るが、「写メール」は当時J-PHONEの市場占有率を引き上げるきっかけとなったのだ。

石原さとみも出演していたCM


ちなみに、J-PHONEの「写メール」CMには石原さとみも出演していたことがある。兄に「ガンバレ!」の写真を送るというストーリーだった。
CMは2003年1月〜3月のものであり、石原さとみは2002年のデビューなので、彼女のキャリアの中でかなりの初期。朝ドラ主演をつとめる直前の、おそらく初のCMタイアップだ。

今となってはスマートフォンで撮った写真をきれいに加工し、SNSで簡単にシェアできるのが当たり前。でも、パカパカした小さなケータイで、画質の悪い写真をやりとりするだけでもわくわくしたあの時代の空気が、「写メ」という言葉の中にまだ残っている気がする。
(空町餡子)

※イメージ画像はamazonより石原さとみ 2016年 カレンダー 壁掛け B2
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