今の若い世代にとっては、女優=篠原涼子に映るかもしれないが、90年代、彼女は、女芸人顔負けの身体を張った芸で勝負していた“タレント”だったことを知っている人は少ないのではないだろうか。
篠原涼子、アイドルから"女芸人"へ
彼女を一躍スターダムに押し上げたのは、1991年から1997年まで放送されていた、ダウンタウンの伝説のコント番組『ダウンタウンのごっつええ感じ』。篠原以外にも、今や、第一線で活躍する今田耕司や東野幸司、板尾創路、ホンコン、そしてタレントのYOUなどもこの番組をきっかけに、全国区に名を知らしめた。
当時は今ほど、女芸人の枠が確立されておらず、女性の演者はタレントや歌手などが担う機会が多く、篠原涼子もその一員としてごっつメンバーに招聘されたのである。
篠原は東京パフォーマンスドールというアイドルユニットでデビューしており、YOUも歌手として活躍していた。しかし二人とも、今であれば女芸人が担うであろう身体を張ったコントでお茶の間に笑いを提供していたのである。
篠原にとっては、『ダウンタウンのごっつええ感じ』での“すさまじい”身体を張ったコントで鍛えた下積み時代があったからこそ、大女優へのステップアップが踏めたのではないだろうか。
散々な扱いを受けていた篠原
特に彼女が芸人並みに扱われていたコントが、松本人志扮する料理講師・キャシィ塚本の料理教番組コント。ここで篠原はアシスタント役「リョウコ」として、今田耕司演ずるアナウンサー役と共演していたのだが、そこではバナナの皮を剥かせた篠原に対し、「そんな感じなんだ」とセクハラまがいの発言をしたかと思えば、かつおぶしを男の"ブツ"に見立てて握らせたりと、もはや完全アウトのセクハラ行為を受けていた。
また別のコントでは、ホンコンや東野とキスされたり、浜田に胸を揉まれたりと“身体を張った”コントに真摯に取り組んでいた。
90年代という時代背景が許した影響もあるが、すさまじい下積み時代を乗り越えてきたからこそ、バラエティからドラマ、映画へと活躍の場を移し、大女優として不動の地位を確立できたのではないだろうか。
(松庭直)
※イメージ画像はamazonより恋しさと せつなさと 心強さと